親知らず抜歯の難易度で変わる費用|知っておくべき3つのポイント

浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「浦和サンデー歯科・矯正歯科」です。
親知らずの抜歯を検討されている方にとって、その費用は大きな関心事の一つではないでしょうか。「親知らずの抜歯は高額になる」という漠然とした不安をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、親知らずの抜歯費用は、その生え方や状況によって大きく異なります。この記事では、なぜ親知らずの抜歯費用が人によって違うのか、そして費用を決める上で特に重要な3つのポイントについて、初心者の方にも分かりやすく解説します。
この記事をお読みいただければ、抜歯の難易度が費用にどう影響するのか、健康保険は適用されるのか、さらには医療費控除のような公的な制度を活用して自己負担を軽減する方法まで、親知らずの抜歯に関する費用を安心して理解し、治療に臨むための情報が得られるでしょう。
親知らず抜歯の費用、なぜ人によって違うの?
親知らずの抜歯費用に個人差があるのは、治療の内容が一人ひとり異なるためです。単純に「親知らずを抜く」といっても、その生え方や歯の状態、治療を受ける医療機関の種類など、様々な要因が複雑に絡み合って最終的な費用が決まります。
たとえば、まっすぐ生えている親知らずであれば比較的簡単な処置で済みますが、顎の骨の中に完全に埋まっているような場合は、専門的な技術と時間が必要となり、それに伴って費用も高くなります。また、健康保険が適用されるかどうかによっても、自己負担額は大きく変わってきます。
このように、親知らずの抜歯費用は画一的なものではなく、患者さん個々の口腔内の状況や選択する治療によって変動するということを、まずご理解いただくことが大切です。次のセクションからは、これらの要因をさらに詳しく掘り下げて見ていきましょう。
知っておくべきポイント1:費用は「親知らずの生え方(難易度)」で決まる
親知らずの抜歯にかかる費用は、親知らずがどのような状態か、つまり「生え方」によって大きく異なります。親知らずがどのように生えているかによって抜歯の難易度が変わり、それに伴って必要な治療時間や技術、使用する器具も変わってくるため、費用に差が生まれるのです。この生え方による難易度の違いが、抜歯費用を理解する上で最も基本的なポイントになります。これから、親知らずの具体的な生え方の種類と、それぞれの難易度による費用の違いについて詳しく見ていきましょう。
親知らずの代表的な3つの生え方と抜歯の難易度
親知らずの生え方は人それぞれで、その状態によって抜歯の難易度が大きく変わります。ここでは、親知らずの代表的な3つの生え方についてご紹介します。ご自身の親知らずがどのタイプに当てはまるかを知ることで、抜歯の難易度や費用の目安をより具体的にイメージしやすくなります。
【難易度:低】まっすぐ生えている場合(単純抜歯)
親知らずが他の歯と同じようにまっすぐきれいに生えており、歯ぐきから完全に頭が出ている状態の場合、抜歯の難易度は比較的低い「単純抜歯」に分類されます。このタイプの抜歯は、一般の虫歯の治療で行われる抜歯と処置内容が大きく変わらず、短時間でスムーズに終わることが多いです。そのため、体への負担も少なく、費用も他のケースと比べて安価になる傾向があります。
【難易度:中】斜めに生えている・歯茎に埋まっている場合(難抜歯)
親知らずが斜めに生えていたり、歯の一部が歯ぐきに覆われていたりする状態は、「難抜歯」として中程度の難易度に分類されます。この場合、親知らずが完全に露出していないため、歯ぐきを切開して親知らずが見えるようにしたり、場合によっては親知らずをいくつかの部分に分割してから取り出したりする処置が必要になります。単純抜歯と比べて処置が複雑になり、時間もかかるため、費用も高くなることが多いです。
【難易度:高】骨の中に完全に埋まっている場合(埋伏歯抜歯)
親知らずが歯ぐきの下や顎の骨の中に完全に埋まっている状態(これを「埋伏歯」と呼びます)は、最も難易度の高い「埋伏歯抜歯」に分類されます。特に、親知らずが水平に埋まっている「水平埋伏歯」は、非常に複雑な処置が必要です。歯ぐきの切開だけでなく、親知らずの周囲の骨を一部削る外科的な処置や、親知らずを細かく分割して取り出す技術が求められます。そのため、高度な専門知識と設備が必要となり、抜歯費用も高額になる傾向があります。このようなケースでは、専門の口腔外科や大学病院での治療が推奨されることも少なくありません。
【生え方別】親知らず抜歯の費用相場(保険適用・3割負担)
親知らずの抜歯費用は、前述のように生え方の難易度によって異なります。ここでは、健康保険が適用され、自己負担が3割の場合の一般的な費用相場を見ていきましょう。具体的な費用は歯科医院や処置内容によって多少変動しますが、以下の目安を参考にしてください。
まず、「まっすぐ生えている場合(単純抜歯)」は、比較的簡単な処置で済むため、窓口での自己負担額は3,000円から5,000円程度が目安となります。
次に、「斜めに生えている・歯茎に埋まっている場合(難抜歯)」では、歯茎の切開や歯の分割などの処置が必要となるため、自己負担額は5,000円から1万円程度になることが多いです。
そして、「骨の中に完全に埋まっている場合(埋伏歯抜歯)」は、最も難易度が高く、骨を削るなどの外科的な処置が必要になることもあります。この場合の自己負担額は、3,500円から1万円程度と、比較的広範囲にわたります。骨への処置の度合いや、抜歯の複雑さによって費用が変わるため、事前の説明をしっかり聞くことが大切です。
これらの費用はあくまで抜歯処置自体の目安であり、この後に説明する検査費用や薬代などが別途加算されます。
抜歯費用以外にかかる料金の内訳
親知らずの抜歯にかかる費用は、実際に歯を抜く処置費だけではありません。歯科医院で支払う総額には、抜歯処置費の他にいくつかの費用が含まれています。これらの内訳を知ることで、費用の全体像を把握しやすくなります。
まず、初めてその歯科医院を受診する場合や、一定期間が空いて再診する場合は、「初診料」や「再診料」がかかります。また、親知らずの状態を正確に診断するために、「レントゲン撮影」や、より詳しい情報が必要な場合は「CT撮影」などの検査が行われ、これらの検査料も必要です。
抜歯の際には痛みを和らげるための「麻酔料」がかかりますし、抜歯後に感染を防ぐための「抗生物質」や、痛みを抑えるための「痛み止め」が処方されることが多く、これらの「薬剤費」も含まれます。さらに、術後の消毒や経過観察のための通院が必要な場合、その都度「再診料」や処置料が発生することもあります。
これらの費用も、原則として健康保険が適用されます。そして、これらの治療に関連する費用は、後述する医療費控除の対象となる場合がありますので、領収書は大切に保管しておくようにしましょう。
知っておくべきポイント2:ほとんどのケースで「健康保険」が適用される
親知らずの抜歯は、多くの方が費用面で不安を感じるかもしれません。しかし、ご安心ください。ほとんどのケースで健康保険が適用され、自己負担額を大幅に抑えることができます。保険が適用されるか否かは、抜歯の目的や歯の状態によって判断されます。
治療を目的とした抜歯であれば、国が定めた診療報酬に基づいた費用となり、患者さまの負担割合(通常3割)に応じて費用が決まります。これにより、予期せぬ高額な出費を心配することなく、必要な治療を受けられます。次のセクションでは、保険が適用される具体的な条件と、まれに適用外となるケースについて詳しくご説明します。
保険適用になる親知らず抜歯とは?
健康保険が適用される親知らずの抜歯は、基本的に「治療を目的としたもの」と判断される場合です。具体的には、以下のような症状や状態が挙げられます。
まず、親知らずの周囲に「痛みや腫れ」がある場合です。これは智歯周囲炎(ちししゅういえん)と呼ばれる炎症で、放置するとさらに悪化する可能性があります。また、親知らず自体が虫歯になっていたり、斜めに生えている親知らずが隣の歯を押して「虫歯」を引き起こしたりするリスクがある場合も、治療目的とみなされます。
さらに、親知らずが原因で「歯並びに悪影響」を及ぼしている場合や、親知らずの周囲に「嚢胞(のうほう)」という袋状の病変が形成されている場合も、健康保険の適用対象となります。これらの症状は、放置すると口腔全体の健康を損なう可能性があるため、早期の治療が必要です。歯科医師が医学的に必要と判断した場合、安心して保険診療で抜歯を受けられます。
注意!保険適用にならないケース
親知らずの抜歯は原則として健康保険が適用されますが、残念ながら例外的に保険が適用されないケースも存在します。特に注意が必要なのは、歯並びを整えるための「矯正治療」の一環として、健康な親知らずを抜歯する場合です。
矯正治療に伴う抜歯は、主に歯を並べるスペースを確保することが目的であり、医学的な治療というよりも「美容目的」と見なされるため、保険適用外の自費診療となります。この場合、1本あたりの抜歯費用が数万円単位と高額になる傾向があります。また、何らかの理由で健康保険に加入していない場合も、当然ながら保険適用外となり、全額自己負担となります。
自費診療の場合、治療方法や使用する麻酔の種類などを自由に選択できるメリットもありますが、費用負担は大幅に増加します。そのため、矯正治療を検討されている方や、ご自身の保険加入状況に不安がある方は、事前に歯科医院で保険適用の有無についてしっかり確認することが大切です。
知っておくべきポイント3:公的制度の活用で「自己負担」を軽くできる
親知らずの抜歯費用を考える上で、健康保険の適用だけでなく、さらに自己負担を軽減できる公的な制度があることをご存じでしょうか。費用に対する不安を解消するためには、これらの制度を理解し、適切に活用することが非常に重要です。ここでは、医療費の負担を軽減するための「医療費控除」と「高額療養費制度」について詳しくご紹介します。これらの制度を上手に利用することで、親知らずの抜歯にかかる経済的な負担を大きく減らせる可能性があります。
医療費控除|年間の医療費が10万円を超えたら
医療費控除とは、1月1日から12月31日までの1年間に支払った医療費の合計が、世帯で10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)を超えた場合、その超えた分の金額に応じて所得税の一部が還付されたり、住民税が軽減されたりする制度です。親知らずの抜歯にかかる費用は、この医療費控除の対象となります。
医療費控除の対象となる費用は、抜歯費用だけにとどまりません。歯科医院への通院のために利用した公共交通機関の交通費、処方された痛み止めや抗生物質などの薬剤費、さらには歯科医院によっては麻酔代なども含まれる場合があります。これらの領収書をしっかりと保管し、1年間の合計額を把握しておくことが大切です。
この制度を利用するためには、確定申告を行う必要があります。確定申告期間中に、所轄の税務署へ必要書類を提出することで、医療費控除が適用されます。少し手間がかかるように感じるかもしれませんが、手続きを行うことで思わぬ還付金が得られる場合もありますので、ぜひ活用を検討してみてください。
高額療養費制度|1ヶ月の医療費が高額になったら
高額療養費制度とは、同じ月(1日から末日まで)の医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じた一定の限度額を超えた場合、その超えた分の金額が後から支給される制度です。親知らずの抜歯は通常、数千円から数万円程度で済むことが多いため、1本だけを抜歯する場合はこの制度の対象となることは稀かもしれません。
しかし、例えば難易度の高い親知らずを複数本同時に抜歯し、手術や麻酔、投薬などの費用が重なり、1ヶ月の自己負担額が自己負担限度額を超えた場合や、入院を伴う抜歯手術を受けた場合などには、高額療養費制度の対象となる可能性があります。ご自身の加入している健康保険組合や市町村の窓口で、自己負担限度額について確認しておくと良いでしょう。
この制度は、医療費控除とは異なり、原則として医療機関の窓口で支払う際に、自己負担限度額を超える部分の支払いが免除されたり、後日申請することで払い戻されたりします。両制度は併用できるため、どちらの制度が自身の状況に合っているか、または両方を活用できないかを事前に調べておくことが、経済的な負担を軽減する上で非常に有効です。
親知らず抜歯に関するよくある質問
これまで親知らずの抜歯費用について詳しくお伝えしてきましたが、費用以外にも「痛み」や「どこで抜歯すれば良いのか」といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。ここでは、そうした費用以外のよくある質問にお答えし、皆さまが安心して治療に臨めるよう、具体的な情報をお届けします。
Q. 抜歯は痛い?腫れはどれくらい続く?
親知らずの抜歯に対する「痛み」への不安は、多くの方が抱えるものです。抜歯中の痛みについては、麻酔技術の進歩により大幅に軽減されていますのでご安心ください。局所麻酔をしっかりと効かせることで、抜歯中に強い痛みを感じることはほとんどありません。
しかし、麻酔が切れた後の痛みや、抜歯後の腫れについては、ある程度避けられないのが実情です。一般的に、抜歯後の痛みは術後48時間後がピークと言われています。これは、傷口の炎症反応が最も強くなる時期であるためです。その後は徐々に痛みが和らぎ、腫れも引いていくのが通常です。
痛みに対しては、歯科医師から処方される痛み止めを指示通りに服用することでコントロールできます。また、患部を冷やすことも腫れや痛みの軽減に効果的です。ただし、冷やしすぎると血行不良を招き、治癒を遅らせる可能性もありますので、冷たいタオルなどを利用して優しく冷やすようにしましょう。適切なセルフケアを行うことで、過度な不安を感じることなく回復期間を過ごせるはずです。
Q. どこの歯医者で抜いても同じ?口腔外科や大学病院との違いは?
親知らずの抜歯は、一般歯科クリニック、口腔外科専門クリニック、大学病院など、さまざまな医療機関で受けられますが、それぞれの役割には違いがあります。ご自身の親知らずの状態や、抜歯の難易度によって適切な医療機関を選ぶことが重要です。
まず、一般歯科クリニックでは、まっすぐ生えている親知らずや、比較的簡単なケースの抜歯に対応しています。日常的な歯科診療を行っているため、普段から通い慣れている歯科医院で抜歯ができるという安心感があります。
一方、口腔外科専門クリニックや大学病院の口腔外科は、歯茎に埋まっている親知らずや、顎の骨の中に完全に埋伏しているような、より高度な外科的処置が必要な抜歯に対応しています。これらの医療機関には、専門的な設備や、口腔外科医という専門知識と経験を持った歯科医師が在籍しており、複雑なケースでも安全に抜歯を行うことが可能です。特に、顎の骨を削る必要がある場合や、血管や神経に近接している親知らずの抜歯では、専門医による対応が推奨されます。
もし、親知らずの状態が複雑で、一般歯科での抜歯が難しいと判断された場合は、一般歯科から口腔外科専門クリニックや大学病院への紹介状が発行されることが一般的です。紹介状があることで、スムーズに専門的な治療を受けられます。また、医療機関の種類によって費用が若干異なる可能性もありますので、事前に確認しておくと良いでしょう。ご自身の親知らずの状態に最も適した医療機関を選ぶことが、安全で納得のいく治療につながります。
Q. 抜いた方がいい親知らずってどんな状態?
親知らずは必ずしもすべて抜歯する必要があるわけではありませんが、将来的なトラブルのリスクや現在の症状を考慮して抜歯が推奨されるケースがあります。抜歯の判断基準は、主に「症状の有無」「将来的リスク」「他の治療との兼ね合い」の3つの視点から総合的に行われます。
まず、「症状の有無」として最も一般的なのは、親知らずが原因で痛みや腫れがある場合です。例えば、親知らずの周りの歯茎が炎症を起こす「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を繰り返している場合や、親知らず自体がひどい虫歯になっている場合などが挙げられます。
次に「将来的リスク」です。たとえ現在症状がなくても、将来的に問題を引き起こす可能性が高い親知らずは抜歯が検討されます。具体的には、斜めに生えている親知らずが隣の歯を押して歯並びを乱す可能性がある場合や、親知らずと手前の歯の間に食べ物が詰まりやすく、虫歯や歯周病のリスクを高めている場合です。また、親知らずの周囲に「嚢胞(のうほう)」という袋状の病変ができるリスクがある場合も、抜歯が推奨されます。
最後に「他の治療との兼ね合い」です。例えば、歯科矯正治療を行う際に、歯をきれいに並べるスペースを確保するために親知らずの抜歯が必要となることがあります。この場合、親知らずが完全に埋まっていても抜歯の対象となることがあります。ただし、矯正目的の抜歯は保険適用外となるケースが多いことに注意が必要です。
これらの状態に当てはまる親知らずは、歯科医師によって抜歯を勧められる可能性が高いです。自己判断せず、まずは歯科医院で診察を受け、ご自身の親知らずの状態と最適な治療方針について説明を受けることが大切です。
まとめ:親知らずの費用が不安なら、まずは歯科医院で相談を
今回は、親知らずの抜歯費用について詳しくお話ししました。親知らずの抜歯費用は、その生え方や状態によって異なり、抜歯の「難易度」によって大きく変わることをご理解いただけたかと思います。
しかし、ご安心ください。ほとんどの親知らずの抜歯は「健康保険」が適用されます。そのため、費用が過度に高額になるケースは多くありません。さらに、もし医療費が高額になったとしても、「医療費控除」や「高額療養費制度」といった公的な制度を活用することで、自己負担をさらに軽くできる可能性があります。
最も大切なのは、費用や治療法について不安を感じたときに、自己判断で悩みを抱え込まないことです。まずは、かかりつけの歯科医院や専門の歯科医師に相談し、ご自身の親知らずの状態を正確に診断してもらいましょう。専門家からの説明を受けることで、費用や治療に関する疑問が解消され、安心して適切な治療を選択できるようになります。早めに相談して、お口の健康を守りましょう。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
日本大学歯学部卒業後、現在に至る。
【略歴】
・日本大学歯学部 卒業
さいたま市浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科
『浦和サンデー歯科・矯正歯科』
住所:埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目10-1 PORAMビル 1F
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