喫煙者の歯周病リスク:知っておくべき真実と予防の鍵
浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「浦和サンデー歯科・矯正歯科」です。
歯科検診で歯周病の進行を指摘されたり、口臭が気になり始めたりしていませんか。長年の喫煙習慣が、もしかしたらその原因かもしれません。喫煙は歯周病の最大のリスク因子の一つであり、口腔内の健康だけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。しかし、諦める必要はありません。
この記事では、喫煙が歯周病に与える具体的な影響や、なぜ喫煙者は歯周病が重症化しやすいのかを詳しく解説します。そして、禁煙がいかに口腔内環境を改善し、歯周病のリスクを劇的に減少させるかについてもお伝えします。禁煙は決して簡単なことではありませんが、適切な知識とサポートを得ることで、健康な歯ぐきと口腔環境を取り戻し、より健やかな未来を手に入れることができます。
もしかして自分も?歯科医に指摘される前に知りたい喫煙と歯周病の関係
最近、歯ぐきの腫れや出血が気になったり、歯科医から歯周病の進行を指摘されたりしていませんか。喫煙習慣がある方は、そうした口腔内のトラブルを経験しやすい傾向にあります。喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病の発症リスクが格段に高く、さらに重症化しやすいことが多くの研究で明らかになっています。
タバコが口腔内に与える影響は多岐にわたりますが、特に歯周病との関連は深く、歯周病菌が増殖しやすい環境を作り出したり、体が持つ本来の免疫機能を低下させたりします。これにより、歯周組織はダメージを受けやすくなり、一度発症した歯周病も進行が早まります。
例えば、1日10本以上の喫煙を続けている方は、非喫煙者と比較して歯周病の発症リスクが約5.4倍にもなると言われています。この数値からもわかるように、喫煙は歯周病にとって非常に危険な要因なのです。ご自身の口腔内を健康に保つためには、この喫煙と歯周病の密接な関係を理解することが最初のステップとなります。
喫煙が歯周病リスクを5倍以上に高める理由
喫煙がなぜ歯周病のリスクをこれほどまでに高めるのか、その背景には科学的なメカニズムが存在します。実際に、1日に10本以上のタバコを吸う方は、非喫煙者に比べて歯周病になるリスクが5.4倍にも増加するという研究結果が示されています。これは単なる統計的な数字ではなく、タバコに含まれる様々な有害物質が、直接的かつ複合的に口腔内の環境を破壊し、歯周病の発症や進行を加速させている明確な証拠です。
タバコの煙には2,000種類以上もの有害な化学物質が含まれており、特に「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」の3つの成分は、歯周組織にとって極めて悪影響を及ぼします。これらの有害物質は、歯ぐきの血流を悪化させたり、免疫機能を低下させたり、さらには細菌が付着しやすい環境を作り出したりと、様々な形で歯周病を進行させる要因となります。次のセクションでは、これら3つの主要な有害物質が具体的にどのように口腔内の健康を蝕むのか、詳しくご説明します。
タバコの3大有害物質が口内環境を悪化させる
タバコが歯周病を悪化させる最大の要因は、その煙に含まれる「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」という3つの主要な有害物質にあります。これらの物質は、それぞれ異なるメカニズムで歯周組織にダメージを与え、口腔内の健康を根本から蝕んでいきます。
これらの有害物質は単独で作用するだけでなく、複合的に影響し合うことで、歯周病の発症リスクを大幅に高め、さらに病気の進行を早めたり、治療の効果を著しく妨げたりします。次の項目からは、それぞれの有害物質が具体的にどのように歯周組織に悪影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。
ニコチン:歯ぐきのSOSサインを隠し、免疫力を下げる
タバコに含まれるニコチンは、歯周病を進行させる上で非常に厄介な働きをします。まず、ニコチンには強力な血管収縮作用があり、これにより歯ぐきの細い血管が縮んで血流が悪くなります。歯ぐきからの出血は歯周病の代表的な初期症状ですが、血流が悪くなることでこの出血が起こりにくくなります。
つまり、ニコチンは歯周病が進行していても、その警告サインである「歯ぐきからの出血」を見えなくしてしまうのです。これにより、喫煙者の方は歯周病が進行していることに気づきにくく、「隠れ歯周病」の状態が長く続いてしまうリスクが高まります。気づいた時には、歯を支える骨がかなり溶けてしまっているというケースも少なくありません。
さらに、ニコチンは体の免疫機能も低下させます。歯周病菌と戦う白血球などの免疫細胞の働きが弱まるため、口腔内に入り込んだ歯周病菌を効率的に排除できなくなります。結果として、感染が広がりやすくなり、歯周病が重症化しやすいメカニズムが形成されてしまうのです。
タール(ヤニ):歯周病菌の温床となるネバネバ汚れ
タバコに含まれるタール、一般的に「ヤニ」と呼ばれるこの物質は、歯周病にとって非常に好ましくない存在です。タールは喫煙によって歯の表面に黒褐色でザラザラとしたネバネバした層を形成します。このタールの付着は、歯の見た目を悪くするだけでなく、口腔衛生上も大きな問題を引き起こします。
なぜなら、タールの層は歯垢(プラーク)が付着しやすく、さらに除去しにくい環境を作り出すからです。歯垢は歯周病菌の塊であり、タールのネバネバとした性質は、まさに歯周病菌が繁殖するための格好の温床となります。これにより、タールが付着している部分は、より多くの歯周病菌がとどまりやすくなり、結果として歯周病の発生や進行を直接的に促進させてしまうのです。
また、一度歯に付着したタールは、普段の歯磨きだけではなかなか完全に除去することができません。専門的なクリーニングでなければ落としきれない頑固な汚れであるため、喫煙を続ける限り口腔内に歯周病菌が常に滞留しやすい状態が続いてしまいます。これは審美的な問題にとどまらず、歯周病リスクを常に高めている要因となることを理解しておく必要があります。
一酸化炭素:歯ぐきを酸欠にし、治りを悪くする
タバコの煙に含まれる一酸化炭素は、体の細胞や組織に酸素が運ばれるのを阻害することで、歯ぐきの健康に深刻な影響を及ぼします。一酸化炭素は血液中のヘモグロビンと非常に強く結合する性質があり、酸素よりも約200倍も結合しやすいと言われています。このため、酸素がヘモグロビンに結合できなくなり、全身の細胞、特に歯ぐきのような末梢組織が慢性的な酸素不足、いわゆる「酸欠状態」に陥ってしまいます。
歯ぐきが酸欠状態になると、細胞の活動が鈍くなり、傷の治りが非常に遅くなります。歯周病によって破壊された組織の修復が妨げられたり、炎症に対する抵抗力が低下したりするため、歯周病が治りにくく、さらに悪化しやすい状態を作り出してしまうのです。歯科治療によって一時的に改善しても、喫煙を続ける限りこの酸欠状態が続くため、歯ぐきの回復が十分に期待できません。
さらに、喫煙は歯ぐきの健康維持に不可欠なビタミンCを大量に破壊するという影響も指摘されています。ビタミンCは、歯ぐきを構成する重要な成分であるコラーゲンの生成に必要不可欠です。ビタミンCが不足すると、コラーゲンの生成が滞り、歯ぐきの組織が脆弱になります。一酸化炭素による酸欠状態とビタミンCの破壊という二重の悪影響が、歯ぐきの修復能力を著しく損ない、歯周病の治癒をさらに困難にさせているのです。
「出血しないから大丈夫」は危険!喫煙者に見られる歯周病の特徴
これまで喫煙が歯周病のリスクを高める理由についてご説明しましたが、喫煙者の歯周病には、非喫煙者のそれとは異なる特有の症状と進行の仕方があることをご存じでしょうか。特に注意すべきは、「歯ぐきから出血しないから歯周病ではない」という誤解です。タバコに含まれるニコチンの影響で、歯周病の初期サインである出血などの自覚症状が現れにくく、気づかないうちに病状が進行する「隠れ歯周病」のリスクが非常に高まります。
このセクションでは、喫煙者の歯周病がなぜ発見しにくいのか、そしてどのように重症化していくのかを詳しく解説していきます。ご自身の口腔状態を正しく認識し、早期発見・早期治療の重要性を理解することが、歯周病の進行を食い止め、健康な歯ぐきを取り戻すための第一歩となります。
症状が出にくい「隠れ歯周病」が重症化を招く
喫煙者特有の「隠れ歯周病」が、なぜこれほどまでに危険視されるのでしょうか。その主な原因は、タバコに含まれるニコチンの血管収縮作用にあります。ニコチンによって歯ぐきの血管が収縮すると、血流が悪くなり、歯周病の初期段階で現れるはずの歯ぐきの腫れや出血といった警告サインが抑えられてしまいます。その結果、本来であれば痛みや出血で異変に気づくべき状況でも、喫煙者は自覚症状がないまま歯周病が静かに進行してしまうのです。
このような自覚症状のなさから、喫煙者は歯周病がかなり進行するまで歯科医院を受診しない傾向にあります。気づいた時には、歯を支える骨が広範囲にわたって破壊され、歯がグラグラしたり、歯ぐきが大幅に下がって歯の根元が見えてしまったりと、すでに重度な状態になっているケースが少なくありません。この段階では、通常の歯周病治療だけでは対処が難しくなり、抜歯に至るリスクも格段に高まります。
喫煙は、歯周病の進行を加速させるだけでなく、その危険な兆候までも覆い隠してしまうため、知らず知らずのうちに重症化を招いてしまうのです。定期的な歯科検診とプロによるクリーニングを受け、ご自身の口腔状態を常に把握しておくことが、喫煙者の方にとっては特に重要となります。
治療しても治りにくい、再発しやすい身体になる
喫煙は、歯周病の治療効果を著しく低下させ、たとえ治療を受けたとしても病状が改善しにくくなるという深刻な問題を引き起こします。タバコに含まれるニコチンは免疫機能を低下させ、一酸化炭素は歯周組織を慢性的な酸素不足に陥らせます。これらの影響により、歯科医院で行われるスケーリングやルートプレーニングといった専門的な歯周病治療を受けたとしても、本来期待される歯周組織の回復が妨げられてしまうのです。
具体的には、非喫煙者に比べて歯周ポケットの深さの改善が見られにくく、歯ぐきの炎症もなかなか治まらない傾向にあります。これは、治療によって一時的に細菌を除去しても、喫煙によって回復力が阻害され、歯周組織が健康な状態に戻りにくいためです。治療に時間と費用をかけたにもかかわらず、期待通りの効果が得られないというジレンマに陥る喫煙者の方も少なくありません。
さらに、喫煙を続ける限り、治療によって一時的に状態が改善したとしても、歯周病の再発リスクは非常に高くなります。歯周病菌が再び増殖しやすい口腔環境が維持されてしまうため、長期的に安定した口腔状態を維持することが極めて困難になります。歯周病治療の効果を最大限に引き出し、健康な歯ぐきを維持するためには、禁煙が不可欠であると認識することが大切です。
インプラント治療の成功率も低下させる
喫煙は、歯周病の進行を悪化させるだけでなく、現代の歯科治療において広く行われているインプラント治療にも深刻な悪影響を及ぼします。インプラント治療は、失われた歯を補うための有効な選択肢ですが、喫煙はインプラント体と顎の骨が結合する「オッセオインテグレーション」という重要なプロセスを著しく阻害する主要なリスクファクターとして知られています。
タバコに含まれるニコチンによる血流の悪化や、一酸化炭素による組織の酸素不足は、骨の細胞がインプラント体としっかりと結合するために必要な治癒能力を低下させます。その結果、インプラントが骨と結合せず、治療が失敗に終わるリスクが高まるのです。歯科医師は、喫煙者に対してインプラント治療の前に禁煙を強く推奨することがほとんどであり、場合によっては禁煙できないと治療自体を断られることもあります。
また、たとえインプラント治療が成功し、インプラント体が骨と結合したとしても、喫煙を続けることで「インプラント周囲炎」を発症するリスクが飛躍的に高まります。インプラント周囲炎は、天然の歯の歯周病と同様に、インプラント周囲の歯ぐきや骨が炎症を起こし、最終的にはインプラントが脱落してしまう危険な病気です。高額な費用と時間をかけて入れたインプラントを長持ちさせるためにも、喫煙は避けるべき習慣と言えます。
紙巻きタバコ以外も要注意!加熱式タバコ・受動喫煙のリスク
喫煙と歯周病の関係性について解説してきましたが、タバコの悪影響は紙巻きタバコに限った話ではありません。近年利用者が増えている加熱式タバコや、ご自身では吸わなくても周囲の喫煙者から影響を受けてしまう受動喫煙も、同様に歯周病のリスクを高める可能性があります。
「煙が出ないから安全」「ニコチンが少ないから大丈夫」といった誤解をされている方もいらっしゃるかもしれませんが、これらの喫煙形態や受動喫煙にも、歯周病を悪化させる有害物質は含まれています。このセクションでは、加熱式タバコや受動喫煙が口腔内にどのような影響を及ぼすのか、その危険性について詳しく見ていきましょう。
加熱式タバコも歯周病のリスクは避けられない
加熱式タバコは、紙巻きタバコに比べて有害物質が大幅に削減されていると宣伝されることが多く、「健康的である」というイメージを持たれがちです。しかし、歯周病の観点から見ると、加熱式タバコも決して安心できるものではありません。なぜなら、加熱式タバコにも歯周病のリスク要因である「ニコチン」が含まれているからです。
ニコチンが含まれている以上、その血管収縮作用によって歯ぐきの血流が悪化したり、免疫機能が低下したりするといった、歯周病を悪化させる根本的なメカニズムは紙巻きタバコと同様に作用します。つまり、加熱式タバコであっても、歯ぐきからの出血などのSOSサインが隠れてしまい、気づかないうちに歯周病が進行してしまう「隠れ歯周病」のリスクは避けられないのです。
したがって、「加熱式タバコだから歯周病は大丈夫」という考えは誤りであり、口腔の健康を守るためには、加熱式タバコも紙巻きタバコと同様に避けるべきだと言えます。ご自身の歯ぐきの健康を真剣に考えるのであれば、加熱式タバコへの切り替えではなく、禁煙を選択することが重要です。
喫煙者の煙が家族の歯周病リスクを高めている可能性
タバコの煙は、吸っているご本人だけでなく、その煙を吸い込んでしまう周囲の人々にも悪影響を及ぼします。これが「受動喫煙」です。特に、喫煙者がいる家庭では、同居するご家族が知らず知らずのうちに受動喫煙にさらされ、歯周病のリスクを高めている可能性があります。
衝撃的な研究結果として、受動喫煙にさらされている非喫煙者は、喫煙していないにもかかわらず、歯周病リスクが約3.6倍に高まることが報告されています。これは、副流煙に含まれる有害物質が、喫煙者本人と同様に、周囲の人の口腔内にも炎症を引き起こしたり、免疫機能を低下させたりするためです。小さなお子さんや高齢のご家族がいらっしゃる場合は、特に注意が必要です。
ご自身の喫煙習慣が、大切なご家族の健康を脅かす可能性があるという事実は、禁煙を考える上で非常に重要な動機付けになるはずです。ご自身の歯周病リスクだけでなく、ご家族の健康を守るためにも、禁煙に真剣に取り組むことをぜひ検討してみてください。
禁煙で未来は変わる!歯周病改善と健康な歯ぐきを取り戻す方法
これまでのセクションでは、喫煙が歯周病に及ぼす深刻なリスクについて解説してきました。しかし、喫煙習慣がある方でも、禁煙を決意することで、口腔内だけでなく全身の健康に大きな変化をもたらすことが可能です。禁煙は決して遅すぎるということはなく、何歳から始めても、どれだけ長く喫煙していても、歯ぐきの状態を改善し、歯周病のリスクを大幅に下げることができます。
このセクションでは、禁煙がもたらすポジティブな変化と、健康な口腔環境を取り戻すための具体的な方法に焦点を当てていきます。禁煙によって歯周病の進行を食い止め、再び健康的な生活を送るための希望と行動への意欲をお伝えします。
禁煙で得られる口腔内のメリット
禁煙を始めることは、口腔内の健康に劇的な改善をもたらします。まず、禁煙後わずか数週間で、ニコチンによって収縮していた歯ぐきの血管が拡張し、血流が改善し始めます。これにより、抑制されていた歯ぐきからの出血が一時的に増えることがありますが、これはむしろ歯ぐきの治癒が始まるサインです。体が本来の防御機能を取り戻しつつある証拠と捉えることができます。
次に、禁煙を続けることで、体の免疫機能が回復し、歯周病菌と戦う白血球の働きが正常になります。これにより、歯周病菌に対する抵抗力が高まり、感染の拡大を防ぐことができます。また、細胞の再生能力も向上するため、傷の治りが早くなり、炎症を起こしていた歯ぐきの回復も促進されます。
長期的には、禁煙によって歯周病のリスクが大幅に低下します。多くの研究で、禁煙後1年で歯ぐきが健康な状態に戻ると言われています。年齢や喫煙歴にかかわらず、禁煙は歯周病の進行を食い止め、将来的な歯の喪失リスクを減らすための最も効果的な手段の一つです。
歯科治療と禁煙の併用で効果を最大化する
歯周病の治療効果を最大限に引き出すためには、禁煙と歯科医院での専門的な治療を同時に進めることが非常に重要です。喫煙を続ける限り、ニコチンの血管収縮作用や免疫抑制作用、一酸化炭素による酸素不足などによって、歯周組織の回復が妨げられ、どんなに優れた歯科治療を受けてもその効果が半減してしまいます。例えば、歯周ポケットの深さを改善するための処置を行っても、喫煙が治癒を阻害し、期待通りの結果が得られないケースが少なくありません。
しかし、禁煙をすることで、体が本来持っている回復力が引き出され、歯科治療の効果が格段に高まります。専門的なクリーニングや歯周外科治療後の組織の治癒が促進され、歯周ポケットの改善や歯ぐきの健康状態の回復が早まります。実際に、「禁煙と歯科治療の併用が歯周組織へのダメージを抑える」という研究報告もされており、その相乗効果は科学的根拠によって裏付けられています。
自己判断で口腔ケアを行うだけでなく、歯科医師や歯科衛生士と連携しながら、禁煙と歯周病治療に積極的に取り組むことで、より確実で長期的な口腔内の健康を手に入れることができます。禁煙は、歯科治療の成功を左右する重要な鍵となるのです。
禁煙成功への第一歩:専門家を頼るという選択
これまで喫煙が歯周病に与える影響についてお話ししてきましたが、いざ禁煙しようと思っても、一人でその長い道のりを乗り越えるのは本当に大変なことです。禁煙したい気持ちはあるのに、なかなか実行に移せない、あるいは禁煙を始めても挫折してしまうという方も少なくありません。それは決して意志が弱いからではありません。
禁煙は、単なる習慣をやめることではなく、体と心の両面からタバコへの依存と向き合うプロセスです。だからこそ、無理なく確実に禁煙を成功させるためには、一人で抱え込まずに、歯科医師や禁煙外来の専門家といったプロフェッショナルのサポートを積極的に活用することをおすすめします。専門家による適切なアドバイスと治療は、禁煙の成功率を格段に高める鍵となるでしょう。
なぜ意志だけでは禁煙が難しいのか?
多くの喫煙者の方が、禁煙の難しさに直面します。それは単に「意志が弱いから」という精神論では片付けられない、科学的な理由があるからです。タバコに含まれるニコチンは、脳の報酬系と呼ばれる部分に作用し、快感物質であるドーパミンを放出させます。この作用によって、タバコを吸うことで得られる快感が学習され、次第に「タバコがないと落ち着かない」「イライラする」といった身体的依存が形成されます。
さらに、タバコを吸う行動が特定の状況(食後の一服、コーヒーを飲む時、ストレスを感じた時など)と結びつき、「この場面ではタバコを吸う」という心理的依存も生まれます。禁煙を試みると、ニコチンが体から抜けることで、強い離脱症状(禁断症状)が現れます。イライラ、集中力の低下、頭痛、不安感、そして何よりも強い喫煙への渇望です。
これらの身体的・心理的な依存、そしてそれに伴う離脱症状は、喫煙が「ニコチン依存症」というれっきとした病気であることを示しています。そのため、自分の意志の力だけでこの依存症を克服するのは非常に困難であり、専門家のサポートなしでは成功率が大幅に下がってしまうのです。
まずは歯科医院でプロのクリーニングと現状把握を
禁煙に向けてまず踏み出すべき大切な第一歩として、歯科医院を受診することをおすすめします。歯科医院では、現在の口腔内の健康状態、特に歯周病の進行度合いやリスクについて、専門的な視点から正確に把握することができます。喫煙による歯ぐきの状態や、タールが付着した歯の様子などを、プロの目でしっかりと診断してもらいましょう。
また、歯科医院ではプロフェッショナルクリーニング(PMTC)を受けることができます。これは、通常の歯磨きでは落としきれない歯の表面にこびりついたタール(ヤニ)や歯石を、専門的な器具を使って徹底的に除去する処置です。ヤニや歯石がなくなることで、口腔内が驚くほどスッキリとし、清潔になったことを実感できるでしょう。この清潔感が、禁煙への新たなモチベーションにもつながることが期待できます。
さらに、歯科医師や歯科衛生士は、喫煙が口腔内に与える影響について深く理解しています。口腔内の状態に合わせた禁煙のアドバイスや、今後の口腔ケアについて具体的な指導をしてくれるでしょう。喫煙の悪影響を実感し、専門家からのサポートを受けることは、禁煙成功への大きな力となります。
禁煙外来を利用して無理なく禁煙に取り組む
禁煙は、強い意志だけでは難しいことが多い病気です。そこで、より確実かつ無理なく禁煙を成功させるための頼もしい味方として、「禁煙外来」の利用を検討されてはいかがでしょうか。禁煙外来では、専門の医師が喫煙状況や健康状態を詳しく問診し、一人ひとりに合った禁煙プランを提案してくれます。
禁煙外来で受けられるサポートの大きな柱の一つが、禁煙補助薬の活用です。例えば、ニコチンを含んだパッチやガムを使用する「ニコチン置換療法」は、喫煙によって摂取していたニコチンを別の方法で補給することで、禁煙時に現れる辛い離脱症状を和らげることができます。また、内服薬として処方される禁煙補助薬もあり、これらは脳に作用して喫煙による満足感を低減させたり、離脱症状を軽減したりする効果が期待できます。
医師やカウンセラーによる定期的なカウンセリングも、禁煙成功には欠かせません。禁煙中の悩みや不安を相談できる場があることで、精神的な負担が軽減され、禁煙継続へのモチベーションを維持しやすくなります。このように、医学的根拠に基づいた治療と心理的サポートを組み合わせることで、禁煙外来は禁煙成功率を大幅に高めてくれるでしょう。
まとめ:歯周病のリスクを減らし、健康な未来を手に入れるために
この記事では、喫煙が歯周病の発症や進行に与える深刻な影響について詳しく解説してきました。タバコに含まれるニコチン、タール、一酸化炭素といった有害物質が、歯ぐきの血管を収縮させたり、免疫機能を低下させたり、組織の回復を妨げたりすることで、非喫煙者よりもはるかに高いリスクで歯周病を招き、重症化させることをご理解いただけたのではないでしょうか。特に、喫煙者の方の場合、歯ぐきからの出血などの自覚症状が出にくく、「隠れ歯周病」として気づかないうちに病気が進行してしまう危険性も指摘しました。
しかし、ご安心ください。喫煙による歯周病のリスクは、禁煙することで劇的に減少させることが可能です。禁煙は決して簡単なことではありませんが、タバコのニコチンには強い依存性があるため、意志の力が弱いからではないことをまずは知っていただきたいと思います。禁煙は年齢や喫煙歴に関わらず、いつ始めても口腔内だけでなく全身の健康改善につながる、とても意義深い行動です。
禁煙を成功させるためには、一人で抱え込まずに専門家のサポートを積極的に活用することが鍵となります。まずは、現在の口腔内の状態を正確に把握するためにも、歯科医院を受診してプロフェッショナルクリーニングを受けることをおすすめします。歯科医師や歯科衛生士から、口腔状態に合わせた禁煙のアドバイスを受けることもできるでしょう。さらに、禁煙外来を利用すれば、ニコチンパッチや禁煙補助薬などの医学的サポートを受けながら、より無理なく禁煙に取り組むことが可能です。
この記事を読み終えられた今、ぜひ健康な未来のために、具体的な一歩を踏み出してみませんか。まずは歯科医院に相談することから始めたり、禁煙について調べてみたりするだけでも、大きな変化につながるはずです。口腔の健康と、ひいては全身の健康を守るための行動を、私たちは心から応援しています。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
日本大学歯学部卒業後、現在に至る。
【略歴】
・日本大学歯学部 卒業
さいたま市浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科
『浦和サンデー歯科・矯正歯科』
住所:埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目10-1 PORAMビル 1F
TEL:048-826-6161