マウスピース矯正の期間|あなたの歯並びなら?症例別の目安を解説

マウスピース矯正を検討されている方の多くが、「どれくらいの期間で歯並びがきれいになるのだろう?」「自分の歯並びだとどのくらい時間がかかるのだろう?」といった疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。特に、人と接する機会が多い方にとって、前歯のすきっ歯のような悩みは、できるだけ早く、そして目立たずに改善したいと考えるのは自然なことです。

この記事では、マウスピース矯正の治療期間について、その全体像から、歯並びのタイプに応じた期間の目安まで、専門用語を避けて分かりやすく解説します。さらに、計画通りに治療を終えるための具体的な秘訣や、治療開始までの流れもご紹介します。この記事を読めば、マウスピース矯正の期間に対する不安が解消され、理想の笑顔への一歩を踏み出すための具体的な道筋が見えてくるはずです。

Table of Contents

マウスピース矯正を始めたいけど期間が不安?まずは期間の全体像を理解しよう

「マウスピース矯正に興味はあるけれど、実際にどのくらいの期間がかかるのか分からず、なかなか一歩を踏み出せない」と感じている方は多いのではないでしょうか。特に仕事で忙しい日々を送っていると、「いつ終わるかわからない治療に時間を費やせるだろうか」という不安は大きいものです。

しかし、マウスピース矯正の治療期間は、決して予測不可能ではありません。まずは、治療がどのように進むのか、その全体像を理解することが大切です。治療期間は、単に歯を動かす期間だけでなく、その後、きれいになった歯並びを安定させるための重要な期間も含まれます。

この全体像を把握することで、漠然とした不安が解消され、ライフスタイルに合わせた治療計画を具体的にイメージできるようになるでしょう。次のセクションでは、その期間が具体的にどのようなフェーズに分かれているのかを詳しく解説していきます。

マウスピース矯正にかかる2つの期間:「動的治療期間」と「保定期間」

マウスピース矯正の全期間は、大きく分けて「動的治療期間」と「保定期間」の2つのフェーズで構成されています。これら2つの期間を正しく理解することは、治療の全体像を把握し、スムーズに治療を進める上で非常に重要です。

歯を動かす「動的治療期間」

「動的治療期間」とは、マウスピースを装着して実際に歯を理想の位置へと少しずつ動かしていく期間のことです。これが一般的にイメージされる「矯正治療」のメイン期間と言えるでしょう。この期間では、患者さんの歯並びの状態に合わせて作られた複数のマウスピースを段階的に交換しながら、計画通りに歯を移動させていきます。

歯が動くメカニズムは、歯を支える骨の吸収と再生という身体の自然な代謝を利用しています。そのため、無理に強い力をかけたり、急激に動かしたりすることはできません。一般的に、歯は1ヶ月に約1mm程度しか動かないと言われています。このため、歯や歯茎、そして骨の組織が健康に順応しながら変化していくためには、一定の時間が必要となるのです。

後戻りを防ぐ「保定期間」

動的治療期間が終了し、歯が望ましい位置に移動した後も、それで治療が完全に終わりというわけではありません。矯正治療の非常に重要な次のステップとして「保定期間」があります。この期間は、せっかく整えた歯並びが元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぐために設けられます。

歯が移動したばかりの状態では、周囲の骨や歯茎の組織がまだ新しい位置に完全に適応していません。そのため、何もしなければ歯は以前の並びに戻ろうとする性質があります。これを防ぐために「リテーナー(保定装置)」と呼ばれる専用の装置を装着し、新しい歯並びが安定するように骨にしっかりと定着させる必要があるのです。

保定期間は、一般的に動的治療期間と同程度かそれ以上の期間が必要とされます。この期間を怠ると、時間とお金をかけて整えた歯並びが元に戻ってしまい、再治療が必要になる可能性も十分にあります。美しい歯並びを長期間維持するためにも、歯科医師の指示に従い、リテーナーをきちんと装着して保定期間をしっかりと過ごすことが何よりも重要です。

【矯正範囲別】マウスピース矯正の期間の目安

マウスピース矯正の治療期間は、どの歯をどれくらいの範囲で動かすかによって大きく異なります。ここでは、歯並び全体を整える「全体矯正」と、前歯など気になる部分だけを整える「部分矯正」の2つのアプローチをご紹介し、それぞれの場合で治療期間がどのように変わるのかを詳しくご説明します。

奥歯から動かす「全体矯正」の期間

全体矯正は、奥歯のかみ合わせを含め、歯並び全体を理想的な状態に整える治療法です。この治療では、多くの歯を動かす必要があり、歯の移動距離も長くなるため、部分矯正に比べて治療期間が長くなる傾向にあります。一般的な期間の目安としては、1年から3年程度かかることが多いです。

この方法は、かみ合わせに問題がある場合や、多数の歯が重なり合っている場合、あるいは抜歯を伴うような複雑なケースで選択されることが多くあります。全体的に歯並びを改善することで、見た目の美しさだけでなく、お口全体の機能性も向上させることを目指します。

前歯など気になる部分を治す「部分矯正」の期間

部分矯正は、前歯のすきっ歯や、少しのずれなど、見た目に影響する限定的な範囲の歯並びを整える治療法です。全体矯正と比べて治療範囲が狭いため、治療期間が短くなることが最大のメリットと言えます。具体的な期間の目安としては、数ヶ月から1年程度で完了するケースが多く見られます。

この治療は、比較的軽度の歯並びの乱れが対象となり、奥歯のかみ合わせには大きな問題がない場合に適しています。短い期間で気になる部分だけを改善したい方にとって、魅力的な選択肢となるでしょう。

【症例別】あなたの歯並びはどれ?マウスピース矯正の期間目安

マウスピース矯正の治療期間は、矯正を行う歯の範囲だけでなく、治療を始める前の歯並びの状態によっても大きく異なります。例えば、前歯のわずかなズレと、奥歯から全体的なかみ合わせの改善では、必要な期間が変わってくるのです。このセクションでは、代表的な歯並びの症例ごとに、マウスピース矯正でどれくらいの期間がかかるのか、具体的な目安を詳しく解説していきます。ご自身の歯並びに近いケースを参考に、「私の場合はどれくらいかかるのだろう?」という疑問を解消する手がかりにしてください。

軽度のすきっ歯・前歯のズレ

軽度のすきっ歯や、前歯のわずかなズレは、見た目を気にする方が多く、マウスピース矯正で改善を希望される頻度の高い症例です。これらのケースは、部分矯正が適用されることが多く、比較的短期間で治療が完了する傾向にあります。

具体的な期間の目安としては、2ヶ月から1年程度で目的の歯並びになることが多いでしょう。ただし、すき間が大きい場合や、前歯のズレが奥歯のかみ合わせ全体に起因している場合は、部分矯正だけでは対応しきれないこともあり、その際は治療期間が長くなる可能性があります。ご自身のすきっ歯や前歯のズレがどの程度なのか、専門家にご相談いただくのが確実です。

出っ歯(上顎前突)

「出っ歯」と呼ばれる上顎前突は、上の前歯が前に突き出ている状態を指し、これもマウスピース矯正で多くご相談いただく症例の一つです。出っ歯の原因には、歯の傾きだけの軽度なものから、顎の骨格的な問題まで様々あり、それによって治療期間も大きく異なります。

歯の傾きが主な原因で、部分矯正で対応できる軽度のケースであれば、1年未満で改善が見られることもあります。一方、全体的なかみ合わせの調整が必要だったり、骨格的な要因が関わっていたりする場合は、全体矯正が必要となり、1年半から3年程度の期間がかかるのが一般的です。さらに、抜歯を伴うような複雑なケースでは、歯を動かす距離が長くなるため、治療期間がさらに長くなる傾向があることを理解しておくことが大切です。

ガタガタの歯並び(叢生)

「叢生(そうせい)」とは、歯がデコボコに重なり合っていたり、ねじれて生えていたりする、いわゆる「ガタガタの歯並び」のことです。歯がきちんと並ぶスペースが不足していることが主な原因で、その度合いによって治療期間が大きく変わってきます。

軽度のガタつきであれば、部分矯正で1年以内に治療が完了することもあります。しかし、歯をきれいに並べるためのスペースが大幅に足りないような重度の叢生の場合、抜歯によってスペースを確保する必要が出てきます。このようなケースでは全体矯正となり、2年から3年程度の期間を要することもあります。歯を動かすスペースの確保が、ガタガタの歯並びを整える上での期間を左右する重要な要素となるのです。

受け口(反対咬合)

「受け口」と呼ばれる反対咬合は、下の歯が上の歯よりも前に出ている状態を指します。この症例は、上下の顎のバランスや歯の傾きによって様々なタイプがあり、治療の難易度が高いケースも少なくありません。

比較的軽度の受け口であれば、マウスピース矯正単独で1年半から2年半程度の期間で改善が見られる可能性があります。しかし、顎の骨格的な問題が大きい場合、マウスピース矯正だけでは対応が難しく、外科手術を併用した矯正治療が必要となることもあります。その場合は、さらに長い期間と専門的な治療が必要となります。ご自身の受け口のタイプと最適な治療法、そしてそれにかかる期間については、歯科医師による精密な診断が不可欠です。

【注意】抜歯が必要な場合は期間が長くなる傾向に

これまで様々な症例における治療期間の目安を解説してきましたが、共通して治療期間に大きな影響を与えるのが「抜歯の有無」です。マウスピース矯正において、歯をきれいに並べるためのスペースが不足している場合、健康な歯を数本抜歯してスペースを確保することがあります。

抜歯が必要なケースでは、その抜歯によって生まれたスペースを閉じるために歯を大きく移動させる必要があり、その分治療期間が長くなります。具体的には、通常の治療期間に加えて半年から1年程度、治療期間が延長されるのが一般的です。特に重度のガタガタの歯並び(叢生)や、突出した出っ歯(上顎前突)のケースで抜歯が選択されることが多いため、ご自身の歯並びがこれらに該当する場合は、抜歯の可能性とそれに伴う期間延長について、歯科医師とよく相談することが重要ですS

マウスピース矯正とワイヤー矯正、期間はどっちが短いの?

マウスピース矯正を検討している多くの方が、「ワイヤー矯正と比べて、どちらが早く終わるのだろうか」という疑問をお持ちかもしれません。結論からお伝えすると、一概にどちらが早いとは言い切れません。治療期間は、お一人お一人の歯並びの状態や、歯科医師が立てる治療計画によって大きく異なります。このセクションでは、マウスピース矯正とワイヤー矯正、それぞれの特徴と、治療期間に違いが出る理由を詳しく掘り下げていきます。

症例によってはマウスピース矯正の方が早く終わることも

一般的に、マウスピース矯正はワイヤー矯正よりも治療期間が短くなる可能性があると言われることがあります。これは、特定の歯の動き方において、マウスピース矯正がワイヤー矯正よりも効率的に力を加えられるケースがあるためです。例えば、奥歯を後方に移動させる「遠心移動」という動きは、マウスピース矯正が得意とする治療の一つとされています。このような症例では、マウスピース矯正の方が計画通りに歯が動きやすく、結果として治療期間が短縮されることがあります。

しかし、これはあくまで特定の症例や治療計画における可能性であり、すべての歯並びに当てはまるわけではありません。複雑な歯の傾きや大幅な移動が必要なケースなどでは、ワイヤー矯正の方が適している場合もあります。どちらの治療法がご自身の歯並びに合っているか、期間も含めて歯科医師とよく相談することが大切です。

なぜ矯正方法によって期間に違いがでるのか

マウスピース矯正とワイヤー矯正で治療期間に差が生まれる理由は、いくつかあります。まず一つ目は「治療計画の精度の違い」です。マウスピース矯正では、治療を開始する前に患者さんの歯型データをもとに3Dシミュレーションを作成し、歯がどのように動いていくかをミリ単位で精密に計画します。この綿密な計画により、無駄な動きを省き、効率的に歯を動かすことが可能になります。

二つ目は「歯にかかる力の違い」です。マウスピースは歯全体を包み込むように装着するため、歯の広い面に均等な力を加えることができます。これにより、歯を効率よく、かつ負担を少なく動かせる場合があるのです。一方、ワイヤー矯正はブラケットと呼ばれる装置を歯の表面に貼り付け、ワイヤーを通して力を加えるため、力の伝わり方に違いが生じます。

そして三つ目は「調整方法の違い」が挙げられます。ワイヤー矯正では通常、月に1回程度の通院でワイヤーの調整を行います。これに対し、マウスピース矯正は1~2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。この頻繁な交換により、計画された歯の動きに沿って段階的に力を加え続けることができ、治療が計画通りに進みやすいという特徴があります。これらの要因が組み合わさることで、マウスピース矯正が特定の症例でより短い期間で治療を終えられる可能性があるのです。

注意!マウスピース矯正の期間が予定より長引く5つの原因

マウスピース矯正は、デジタル技術を駆使して精密な治療計画を立てられることが大きな特長です。しかし、中には「思ったより期間が長引いてしまった」という方もいらっしゃいます。治療期間が予定よりも延びてしまう原因の多くは、患者さんご自身の行動や日々の生活習慣に起因することが少なくありません。ここでは、どのような場合に期間が長引いてしまうのかを具体的にご紹介します。これらの原因を理解し、日頃から意識することで、スムーズに治療を進め、計画通りに美しい歯並びを手に入れることにつながります。

原因1:マウスピースの装着時間が足りない

マウスピース矯正の治療期間が長引いてしまう最も大きな原因の一つが、マウスピースの装着時間不足です。マウスピース矯正は、1日あたり20時間以上の装着が推奨されています。これは、食事と歯磨きの時間以外は、ほぼ常にマウスピースを装着している必要があるということです。この装着時間を守れないと、歯に適切に力が伝わらず、計画通りに歯が動きません。結果として、次のステップのマウスピースが合わなくなったり、治療計画の修正(リファインメント)が必要になったりして、治療期間が大幅に延長されるリスクがあります。

「少しの間だけ」「今日は疲れているから」といった軽い気持ちの油断が、最終的に数ヶ月単位の遅れにつながることもあるため、装着時間の厳守は治療を計画通りに進める上で非常に重要です。

原因2:マウスピースの交換時期や使い方を誤っている

歯科医師から指示されたマウスピースの交換タイミングや、正しい使い方を守らないことも、治療期間が長引く原因となります。たとえば、「早く治療を終えたい」という思いから、自己判断で指示よりも早くマウスピースを交換してしまうと、歯や歯の根に過度な負担がかかり、歯の動きが悪くなったり、痛みが生じたりする可能性があります。また、逆に交換時期を忘れて長く使い続けてしまうと、マウスピースが劣化して歯を動かす力が弱まってしまい、歯の動きが滞ってしまいます。

いずれの場合も、治療計画にズレが生じ、場合によっては新しいマウスピースを作り直す「リファインメント」が必要になり、結果として治療期間が延長されてしまいます。歯科医師の指示に従い、正しくマウスピースを使用することが、結果的に最短で治療を終えるための近道です。

原因3:治療中に虫歯や歯周病になってしまった

マウスピース矯正中に虫歯や歯周病などの口腔トラブルが発生すると、治療期間が長引く大きな原因となります。これらの病気が見つかった場合、矯正治療を一時中断し、そちらの治療を優先しなければなりません。特にマウスピースを装着している間は、唾液による自浄作用が働きにくくなるため、ケアを怠ると虫歯や歯周病のリスクが高まります。歯の表面やマウスピースの隙間に食べかすが残りやすく、細菌が繁殖しやすい環境になるからです。

虫歯治療のために詰め物や被せ物をすると、マウスピースが合わなくなり、作り直しが必要になることもあります。日頃から丁寧な歯磨きやフロスの使用を徹底し、口腔内を清潔に保つセルフケアの習慣が、治療を中断させずにスムーズに進めるために非常に重要です。

原因4:自己判断で通院を中断してしまった

マウスピース矯正は、自宅でマウスピースを交換していく治療ですが、定期的な通院は不可欠です。しかし、「仕事が忙しい」「特に問題を感じない」といった理由で、自己判断で通院を中断してしまう方がいらっしゃいます。このような場合、歯の動きが計画通りに進んでいるかどうかの専門的なチェックができず、もし問題が起きていても発見が遅れてしまいます。

例えば、アライナーがうまくフィットしていない、歯の動きにずれが生じているといった問題は、患者さん自身ではなかなか気づきにくいものです。問題が発覚した際には、治療計画の大幅な修正が必要となり、治療期間が想定よりも大きく延びてしまう可能性があります。計画通りに治療を進めるためには、歯科医師の指示に従い、定期検診には必ず通うようにしましょう。

原因5:歯の動きがシミュレーション通りに進まない

マウスピース矯正では、治療開始前に3Dシミュレーションで歯の動きを予測しますが、時にはシミュレーション通りに歯が動かないこともあります。これは、患者さんの骨の硬さや新陳代謝の速度といった生物学的な個人差、あるいは治療中に予測し得なかった外部要因など、様々な理由が考えられます。歯の動きは非常にデリケートであり、完全にコントロールすることは難しい側面があるのです。

もし歯の動きがシミュレーションと大きくずれてしまった場合、治療計画を修正し、新たなマウスピースを作り直す「リファインメント」が必要になります。これにより、数ヶ月程度の期間延長が発生することがありますが、これは誰にでも起こりうることです。このような事態を早期に発見し、適切に対応するために、定期的な歯科医師による検診が非常に重要になります。

後悔しないために!マウスピース矯正を計画通りに進めるためのポイント

マウスピース矯正の期間が長引く原因は、患者さんの行動に起因することが少なくありません。しかし、だからこそ期間はご自身でコントロールできる部分も大きいのです。ここでは、治療計画を順調に進め、理想の歯並びを最短で手に入れるための具体的な行動指針をご紹介します。前向きな気持ちで取り組める実践的なポイントばかりですので、ぜひ今日から意識してみてください。

【最重要】1日20時間以上の装着時間を徹底する

マウスピース矯正を計画通りに進める上で、最も重要なのが「1日20時間以上の装着時間」を守ることです。食事と歯磨きの時間以外は、基本的に常にマウスピースを装着しておく必要があります。この装着時間を守れないと、歯が計画通りに動かず、次のステップのマウスピースが合わなくなってしまう可能性があります。例えば、「少しの時間だから大丈夫だろう」と油断して装着時間を短くしてしまうと、結果的に治療が大幅に延長したり、マウスピースを作り直すことになったりするリスクがあるのです。日々の生活の中で、食後すぐに歯を磨いてマウスピースを装着する習慣をつける、外出先でもケア用品を持ち歩くなど、装着時間を確保するための工夫をしてみてください。

歯科医師の指示通りにマウスピースを交換する

歯科医師から指示されたマウスピースの交換タイミングを厳守することも非常に大切です。早く治療を終えたいという気持ちから自己判断で交換を早めてしまったり、逆に忙しくて交換を忘れて長く使い続けたりすることは避けましょう。自己判断での交換は、歯や歯根に予期せぬ負担をかけ、計画の遅延や、場合によってはマウスピースの作り直し(リファインメント)が必要になる原因となります。歯科医師の指示は、科学的根拠に基づいた最適なタイミングであり、それを守ることが最短で治療を終えるための近道です。交換日をスマートフォンのカレンダーやリマインダーアプリで管理するなど、忘れずに交換できる工夫をしてみてください。

丁寧な口腔ケアでトラブルを防ぐ

治療期間中に虫歯や歯周病などの口腔トラブルが発生すると、矯正治療を一時中断して、そちらの治療を優先せざるを得なくなります。これは治療期間が長引く大きな原因となりますので、日頃から丁寧な口腔ケアを心がけましょう。具体的には、マウスピースを装着する前には必ず歯磨きを徹底し、歯間ブラシやフロスを使って歯と歯の間の汚れもしっかり除去してください。また、マウスピース自体も清潔に保つことが重要です。使用後は洗浄し、乾燥させるなど、指示された方法で適切に管理しましょう。これらのセルフケアを徹底することで、口腔トラブルのリスクを減らし、治療が中断することなくスムーズに進められます。

定期検診は必ず受ける

マウスピース矯正における定期検診は、単に新しいマウスピースを受け取るだけの場ではありません。定期検診は、歯の動きが計画通りに進んでいるか、アライナーが適切に装着されているか、そして虫歯や歯周病などの口腔トラブルがないかなど、専門家が詳細にチェックするための重要な機会です。万が一、歯の動きにずれが生じていたり、口腔トラブルが見つかったりした場合でも、早期に発見して対処することで、治療計画の大きな変更や期間の延長を防ぐことができます。定期的な受診は、治療の進行状況を把握し、問題が発生した場合でも迅速に対応するための大切なプロセスであり、結果として治療期間の短縮につながるのです。

信頼できる歯科医師と二人三脚で治療を進める

マウスピース矯正は、歯科医師と患者さんの共同作業です。不安なことや疑問点があれば、どんな些細なことでも遠慮せずに相談できるような、信頼関係を築くことが治療の成功と満足度につながります。治療中はもちろん、治療開始前のカウンセリングの段階で、ご自身の悩みや希望をしっかりと伝え、納得のいく治療計画を立ててくれる歯科医師を選ぶことが最初の重要なステップです。コミュニケーションを密に取り、疑問点を解消しながら二人三脚で治療を進めていくことで、安心して計画通りのゴールを目指せるでしょう。

相談から治療開始までの流れと期間の目安

マウスピース矯正を検討されている方にとって、実際に治療が始まるまでのプロセスは気になる点ではないでしょうか。どのようなステップを経て、どれくらいの期間で治療がスタートするのかが分かれば、安心して一歩を踏み出せるはずです。ここでは、初回の相談から実際の治療開始に至るまでの具体的な流れと、それぞれの段階でかかる期間の目安について詳しくご説明します。ご自身のライフスタイルと照らし合わせながら、ぜひ参考にしてみてください。

ステップ1:初診相談・カウンセリング

マウスピース矯正治療の第一歩は、歯科医院での初診相談とカウンセリングから始まります。この段階では、患者さんの歯並びのお悩みや、矯正治療に対する希望、例えば「前歯のすきっ歯が気になる」「できるだけ目立たない方法が良い」といった具体的な要望を歯科医師が丁寧にヒアリングします。

同時に、マウスピース矯正の治療の概要、治療によって得られるメリットや、考慮すべきデメリット、そして治療にかかるおおよその費用や期間について説明が行われます。この初診相談は、歯科医師との相性やクリニックの雰囲気を確認する大切な機会でもありますので、疑問点があれば積極的に質問することが大切です。所要時間は通常30分から1時間程度が目安となります。

ステップ2:精密検査・治療計画の立案

初診相談で治療に進む意思が固まったら、次に精密検査を行います。これは、患者さん一人ひとりの口腔内の状態を正確に把握し、最適な治療計画を立てるために非常に重要な工程です。具体的には、レントゲン撮影や口腔内写真・顔写真の撮影、そして歯型採りが行われます。これらの詳細なデータは、歯の根の状態や顎の骨格、かみ合わせなど、肉眼では見えない部分までを明らかにし、治療の土台となります。

収集された精密検査の結果をもとに、歯科医師は患者さんにとって最も効果的で安全な治療計画を立案します。このステップは、カウンセリングと同日に続けて行われることもあれば、より詳細な分析が必要な場合は別日に設定されることもあります。

ステップ3:3Dシミュレーションの確認

精密検査のデータをもとに、歯科医師は専用のソフトウェアを使用して、患者さんの歯が治療期間中にどのように動いていくかを視覚的に再現する3Dシミュレーションを作成します。このシミュレーションは、治療の開始から終了までの歯の動きを動画で確認できるため、最終的にどのような歯並びになるのかを具体的にイメージできる点が大きな特徴です。患者さんは、この3Dシミュレーションを見ながら、歯科医師から治療期間の目安や最終的な仕上がりの予測について詳しく説明を受けます。

治療のゴールやプロセスに納得した上で、患者さんが同意することで次のステップへと進みます。精密検査からこの3Dシミュレーションが完成するまでには、通常2週間から4週間程度の期間がかかるのが一般的です。

ステップ4:マウスピース製作・治療開始

3Dシミュレーションによる治療計画に同意した後、その計画に基づいて患者さんオーダーメイドのマウスピースが製作されます。マウスピースの製作は通常、提携する海外の専門工場で行われることが多く、この工程には1ヶ月から1ヶ月半程度の期間を要します。

マウスピースが完成し、歯科医院に到着したらいよいよ治療開始です。患者さんは歯科医院で最初のマウスピースを受け取り、歯科医師や歯科衛生士から正しい装着方法や取り外しの練習、そして日常で注意すべき点について詳しい説明を受けます。ここから、指示された装着時間を守りながらマウスピースを交換していくことで、理想の歯並びへと少しずつ近づいていきます。

まとめ:正確な治療期間は精密検査でわかる!まずは歯科医院で相談しよう

マウスピース矯正の治療期間は、多くの人にとって気になるポイントですが、その期間は「歯を動かす期間(動的治療期間)」と「後戻りを防ぐ期間(保定期間)」の2つで構成されています。そして、歯並びを矯正する範囲や、もともとの歯並びの状態(症例の複雑さ)、さらには患者さんご自身の協力度合いによって大きく変わります。

インターネット上の情報や一般的な目安は、あくまで参考の一つに過ぎません。「私の場合はどれくらいかかるのだろう?」といった具体的な疑問に対しては、やはり専門家による診断が不可欠です。歯科医院で行う精密検査では、レントゲン撮影や口腔内スキャンなどを用いて、あなたの顎の骨格や歯の現在の状態を正確に把握します。

この精密検査の結果に基づいて、歯科医師が一人ひとりに合わせた最適な治療計画を立案し、詳細な治療期間の目安を提示してくれます。3Dシミュレーションを使って、治療後の歯並びを事前に確認できる場合も多いので、不安なく治療をスタートできるでしょう。

「期間がどのくらいかかるのか不安で、なかなか一歩を踏み出せない」と感じているのであれば、まずは信頼できる歯科医院に相談してみましょう。専門家である歯科医師とのカウンセリングを通じて、疑問や不安を解消し、納得のいく治療計画を見つけることが、理想の歯並びを手に入れるための最初の、そして最も大切なステップになります。

少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

林 悠太 | Yuta Hayashi

日本大学歯学部卒業後、現在に至る。

【略歴】
日本大学歯学部 卒業

さいたま市浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科
浦和サンデー歯科・矯正歯科
住所:埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目10-1 PORAMビル 1F
TEL:048-826-6161