親知らずを抜かない選択肢は?抜歯のメリット・デメリットを徹底比較

浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「浦和サンデー歯科・矯正歯科」です。
「親知らずは抜いた方がいいの?」
このような疑問を抱え、痛みに悩んでいる方や抜歯の必要性に迷っている方は少なくありません。親知らずの治療では、必ずしも抜歯が唯一の選択肢ではありません。このコラムでは、抜歯すべきケースと抜かなくても良いケースの判断基準を明確にし、さらに抜歯した場合のメリットとデメリットを具体的に解説します。ご自身の親知らずの状態と照らし合わせながら、適切な判断を下すための情報としてお役立てください。
【結論】親知らずは必ずしも抜く必要はない!ただし自己判断は危険
まずお伝えしたいのは、親知らずは必ずしも抜歯する必要はないということです。すべての親知らずがトラブルを引き起こすわけではなく、中にはまっすぐ生えていて他の歯と同じように機能し、問題を起こさない親知らずも存在します。このような場合は、無理に抜歯する必要はありません。
しかし、ご自身の親知らずの状態を自己判断するのは非常に危険です。親知らずは口の奥深くに位置し、その生え方は一人ひとり異なります。外からは見えない部分で、斜めや横向きに生えていたり、骨の中に完全に埋まっていたりするケースも少なくありません。ご自身では問題がないと思っていても、レントゲンを撮ると深刻なトラブルの兆候が見つかることもあります。
少しでも親知らずに痛みや違和感がある場合は、放置せずにまずは歯科医院を受診してください。レントゲン撮影などの精密な検査を通じて、専門家である歯科医師の診断を仰ぐことが不可欠です。歯科医師は、親知らずの状態だけでなく、将来的なリスクまで考慮した上で、あなたにとって最適な治療方針を提案してくれます。
そもそも親知らずとは?なぜトラブルが起きやすいのか
親知らずとは、前から数えて8番目に位置する永久歯のことで、「第三大臼歯」とも呼ばれます。一般的には10代後半から20代前半にかけて生えてくることが多く、他の永久歯が生え揃った後に成長するため、この時期に「親に知られることなく生えてくる歯」として親知らずという名前がついたとされています。上下左右に1本ずつ、合計4本生えてくるのが一般的ですが、人によっては数が少なかったり、全く生えてこなかったりすることもあります。
しかし、現代人の食生活の変化に伴い顎が小さくなってきたことで、親知らずが生えてくるための十分なスペースがないケースが増えています。その結果、親知らずがまっすぐ生えることができず、斜めや横向きに生えたり、歯茎や骨の中に完全に埋まったままになったりする「埋伏(まいふく)親知らず」となることが少なくありません。このような異常な生え方は、さまざまな口腔トラブルの原因となるため、親知らずは「問題を起こしやすい歯」として認識されています。
親知らずがトラブルを引き起こす主な原因は、その生え方に起因する清掃のしにくさにあります。斜めや横向きに生えた親知らずの周りは、歯ブラシが届きにくく、食べかすや歯垢が溜まりやすいため、虫歯や歯周病、特に親知らず周囲の歯茎の炎症(智歯周囲炎)のリスクが非常に高まります。また、完全に埋まっている場合でも、隣の歯を圧迫したり、嚢胞(のうほう)と呼ばれる膿の袋を形成したりするなど、外からは見えないところで問題を引き起こすことがあるため、定期的なチェックが重要になります。
あなたの親知らずはどのタイプ?生え方で変わるリスク
親知らずは、その生え方によって将来のリスクが大きく異なります。歯科医院では、外からは見えない親知らずの正確な位置や向き、根の状態、そして神経との距離などを詳細に確認するために、レントゲン撮影やCT検査を行います。これからご紹介する「まっすぐ正常に生えているタイプ」「斜めや横向きに生えているタイプ」「歯茎や骨の中に完全に埋まっているタイプ」の3つの主要な生え方を理解することで、ご自身の親知らずがどのようなリスクを抱えているのかを把握し、適切な対処を考えるきっかけにしてください。
まっすぐ正常に生えている
親知らずが「まっすぐ正常に生えている」状態とは、他の奥歯と同じように垂直に生え、歯の頭が完全に歯茎から露出していて、かつ上下の歯がきちんと噛み合っている場合を指します。このタイプの親知らずは、トラブルのリスクが比較的低いとされています。しかし、お口の最も奥に位置するため、歯ブラシの毛先が届きにくく、どうしても磨き残しが生じやすいという側面があります。そのため、特別に小さめの歯ブラシを使用したり、デンタルフロスや歯間ブラシを併用したりするなど、意識して丁寧にケアをしなければ、虫歯や歯周病になってしまう可能性があります。
斜めや横向きに生えている
親知らずが「斜めや横向きに生えている」状態は、歯科用語では「傾斜埋伏(けいしゃまいふく)」や「水平埋伏(すいへいまいふく)」と呼ばれ、最もトラブルを起こしやすいタイプです。この状態では、親知らずの一部だけが歯茎から顔を出していたり、手前の歯(第二大臼歯)に突き当たるように生えていたりします。
このような生え方をしていると、親知らずと歯茎の間や、親知らずと手前の歯の隙間に食べかすや歯垢(プラーク)が非常に溜まりやすくなります。この汚れが細菌の温床となり、虫歯や歯周病のリスクを劇的に高めるだけでなく、歯茎の強い炎症である「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を頻繁に引き起こす原因となります。智歯周囲炎になると、強い痛みや腫れ、場合によっては口が開きにくくなるといった症状が現れ、日常生活に大きな支障をきたすことがあります。
さらに、横向きに生えた親知らずが手前の健康な歯を圧迫し続けることで、その歯の根を溶かしてしまったり(歯根吸収)、手前の歯まで虫歯にしてしまったりするリスクもあります。また、親知らずが前方の歯を押し出す力となり、全体の歯並びを乱す一因となる可能性も指摘されており、機能的に重要な手前の歯や、お口全体の健康を守るためにも、このタイプの親知らずは抜歯が推奨されることが多いです。
歯茎や骨の中に完全に埋まっている
親知らずが「歯茎や骨の中に完全に埋まっている」状態は「完全埋伏(かんぜんまいふく)」と呼ばれ、外からは全く見えません。このタイプの親知らずは、痛みや腫れなどの自覚症状が全くないことが多いため、ご自身では存在に気づかないケースも少なくありません。そのため、「問題ない」と考えて放置してしまいがちです。
しかし、症状がないからといって本当に問題がないとは限りません。歯科医院でのレントゲンやCT検査によって、初めて隠れた問題が発見されることがあります。例えば、埋まっている親知らずの周りに「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる膿の袋が形成されたり、隣の歯の根を内側から溶かしてしまう「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」が進行していたりするケースも存在します。これらの問題は、発見が遅れると周囲の骨や歯に深刻なダメージを与える可能性があります。
そのため、現在症状がない埋伏親知らずであっても、将来的なリスクを評価し、定期的に歯科医院でレントゲン検査などを受け、状態を確認し続けることが非常に重要になります。特に、他の歯の治療の際などに偶発的に発見された場合は、歯科医師と相談して今後の対応を検討することが賢明です。
親知らずを抜かない選択肢|抜かなくても良いケースとは
親知らずの抜歯は、多くの方が「痛そう」「怖い」といったイメージを持つかもしれません。しかし、すべての親知らずが必ずしも抜歯の対象となるわけではありません。お口の中の状態や親知らずの生え方によっては、抜歯せずに経過観察をするという選択肢も十分に考えられます。
このセクションでは、どのような場合に親知らずを抜かなくても良いのか、歯科医師が抜歯を推奨しない具体的なケースを詳しく解説します。ご自身の親知らずがこれらの条件に当てはまるかどうかを確認することで、不要な心配を減らし、ご自身の状況に合わせた適切な判断の一助となる情報を提供します。
正常に生えていて、きちんと歯磨きができている
親知らずを抜かなくても良い代表的なケースの一つは、他の歯と同じように「まっすぐ正常に生えていて、かつ清掃状態が良好である」場合です。
具体的には、
上下の親知らずがきちんと噛み合っていて、咀嚼機能に貢献している
最も奥にある歯にもかかわらず、歯ブラシが届き、日々丁寧に清掃できているため、虫歯や歯周病になっていない
という2つの条件を満たしている必要があります。このような親知らずは、他の奥歯と同様に機能しているため、無理に抜歯する必要はありません。むしろ、お口全体の健康を維持するために大切な役割を果たすこともあります。
完全に骨の中に埋まっていて問題がない
親知らずが「歯茎や顎の骨の中に完全に埋まっている(完全埋伏)」場合でも、抜歯が不要なケースがあります。
この場合、外からは親知らずが全く見えず、痛みなどの自覚症状がないことがほとんどです。歯科医院でレントゲンやCT撮影を行い、その結果として、隣の歯(第二大臼歯)に悪影響を与えておらず、また、親知らずの周りに嚢胞(のうほう)と呼ばれる病的な膿の袋ができていないなど、将来的に問題を引き起こす可能性が低いと判断されれば、歯科医師は抜歯ではなく経過観察を選択することがあります。
ただし、症状がないからといって完全に放置して良いわけではありません。お口の中の状態は変化する可能性があるため、定期的な歯科検診を継続し、レントゲンなどで親知らずの状態を長期的に確認し続けることが非常に重要になります。
移植やブリッジの土台として活用できる可能性がある
健康な親知らずは、将来的に意外な形で役立つ可能性があります。例えば、虫歯や事故などで他の奥歯を失ってしまった場合に、その失われた歯の代わりに親知らずを抜歯して移植する「歯牙移植(しがいしょく)」のドナー歯として利用できるケースがあります。
また、失われた歯を補うためのブリッジ治療を行う際に、親知らずが残っていればその歯を支台歯(土台となる歯)として活用できる可能性も考えられます。このように、健康な親知らずは「予備の歯」として、将来の歯科治療の選択肢を広げる貴重な存在となることがあるため、すぐに抜歯せずに温存するという判断がなされる場合もあります。
抜かずに経過観察する場合の注意点
親知らずを抜かずに経過観察するという選択をした場合、「放置」とは全く意味が異なります。大切なのは、親知らずの周囲の環境を常に良好に保ち、積極的に管理していくことです。
具体的な注意点としては、以下の2点が挙げられます。
毎日の丁寧な歯磨きを徹底すること:親知らずは最も奥に位置するため、歯ブラシが届きにくく、磨き残しが生じやすい場所です。専用の小さな歯ブラシを使ったり、デンタルフロスや歯間ブラシを併用したりして、虫歯や歯周病の原因となるプラークを徹底的に除去する必要があります。
自覚症状がなくても定期的に歯科医院で検診を受けること:お口の中の状態は、加齢や体調の変化によって刻々と変わります。これまで問題がなかった親知らずが、ある日突然、トラブルの原因となることも珍しくありません。レントゲンで骨の中の状態を確認したり、専門家によるクリーニングを受けたりすることで、問題が大きくなる前に早期発見・早期対応が可能になります。
歯科医師のアドバイスに従い、継続的にプロのチェックを受けることが、親知らずを抜かずに健康な状態を保つための不可欠な条件となります。
親知らずを抜いた方が良いケースとは?判断基準を解説
親知らずの抜歯を検討する際、「どのような状況で抜いた方が良いのか」という疑問を抱く方は少なくありません。現在すでに何らかの症状が出ている場合や、将来的に高い確率でトラブルを引き起こすことが予測される場合に、歯科医師から抜歯を勧められることが一般的です。これは、問題が深刻化する前に対処することで、より大きなダメージを防ぐという予防的な観点も含まれています。
痛みや腫れといった直接的な症状がなくても、放置することで他の健康な歯に悪影響を及ぼしたり、矯正治療の妨げになったりするケースもあります。ご自身の親知らずの状態が抜歯すべきケースに当てはまるのか、明確な判断基準を理解しておくことは、適切な治療選択のために非常に重要です。
このセクションでは、抜歯が推奨される具体的な状況を詳しく解説します。ご自身の親知らずの状態と照らし合わせながら、歯科医師の診断を受ける際の参考にしてください。
痛みや腫れを繰り返している(智歯周囲炎)
親知らずの抜歯が推奨される最も一般的な理由の一つに「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」があります。これは、親知らずの周りの歯茎が細菌感染によって炎症を起こしている状態を指します。症状としては、強い痛みや歯茎の腫れ、場合によっては口が開きにくくなったり、飲み込みにくさを感じたりすることもあります。
智歯周囲炎は、親知らずが斜めや横向きに生えているために、歯と歯茎の間に食べかすやプラーク(歯垢)が溜まりやすく、清掃が困難であることが主な原因です。抗生物質や歯科医院での洗浄によって一時的に症状が治まることはありますが、原因である親知らずが存在する限り、細菌が溜まりやすい環境は改善されません。
そのため、智歯周囲炎を繰り返してしまう場合は、根本的な解決策として親知らずの抜歯が選択されます。抜歯によって原因を取り除くことで、再発のリスクをなくし、痛みや腫れに悩まされる生活から解放されることができるのです。
親知らず自体が虫歯になっている、またはリスクが高い
親知らずが虫歯になってしまった場合も、抜歯が推奨されるケースが多くあります。親知らずは口の最も奥に位置しているため、歯ブラシが届きにくく、また歯科治療の器具も届きにくいという特徴があります。そのため、たとえ虫歯になってしまっても、精度の高い治療を行うことが非常に困難な場合が多いのです。
さらに、無理に治療を施しても、治療後に再び虫歯になる再発リスクが高いことも指摘されています。一度治療した箇所から再び虫歯が進行してしまう可能性が高いのであれば、治療をせずに抜歯する方が、将来的なトラブルを避ける上でメリットが大きいと判断されることが少なくありません。
特に、歯茎に半分埋まっているような親知らずは、完全に歯茎から出ている親知らずと比較して虫歯になるリスクが非常に高く、一度虫歯になると治療が極めて困難になります。このような状態の親知らずは、虫歯の進行度合いによっては抜歯が第一選択肢となるでしょう。
手前の歯を圧迫し、歯並びや虫歯の原因になっている
斜めや横向きに生えた親知らずは、隣接する手前の歯、特に第二大臼歯(前から数えて7番目の歯)に大きな悪影響を及ぼすことがあります。親知らずが手前の歯を物理的に押し続けることで、手前の歯の根を溶かしてしまう「歯根吸収」という現象を引き起こすリスクがあります。これは、手前の歯の寿命を縮めてしまう深刻な問題です。
また、親知らずと手前の歯との間に食べかすやプラークが溜まりやすい環境を作り出し、手前の歯まで虫歯にしてしまうことも少なくありません。手前の歯は咀嚼機能において非常に重要な役割を担っており、これを守るためにも、原因となっている親知らずを抜歯する必要があるのです。
さらに、親知らずが前方に押し出す力は、前方の歯並び全体に影響を与え、前歯のガタつきなどの歯列の乱れの一因となる可能性も指摘されています。美しく健康な歯並びを維持するためにも、親知らずの抜歯が検討されることがあります。
噛み合わせる相手の歯がなく、歯茎や頬を傷つけている
親知らずが上下いずれか一方にだけ生えていたり、片側の親知らずだけを抜歯したりした場合、噛み合う相手の歯がない親知らずが残ってしまうことがあります。このような場合、対向する歯がない親知らずは、噛み合わせのバランスを失い、徐々に歯茎から突出してくる「挺出(ていしゅつ)」という現象を起こすことがあります。
挺出した親知らずは、下の歯茎や頬の粘膜を頻繁に噛んでしまい、痛みや口内炎の原因となることがあります。日常生活において食事のたびに痛みを感じたり、慢性的な口内炎に悩まされたりすることは、生活の質を大きく低下させてしまいます。噛み合わせに全く関与せず、むしろ周囲の軟組織を傷つけてトラブルを引き起こしている親知らずは、抜歯の対象となることがほとんどです。
この状態が続くと、粘膜の慢性的な刺激がさらに別の問題を引き起こす可能性も否定できません。そのため、このような状況であれば、歯科医師は積極的な抜歯を推奨することが多いでしょう。
矯正治療の妨げになる場合
歯列矯正を検討している方にとって、親知らずの存在は治療計画に大きな影響を与えることがあります。これから矯正治療を始める場合、親知らずが歯を動かすスペースを妨げたり、計画通りの歯の移動を阻害したりする可能性があるため、治療開始前に抜歯を指示されることが非常に多くあります。
また、矯正治療によって歯並びをきれいに整えた後でも、親知らずが歯を前方に押し出す力が働き、きれいに並べた歯並びが再び乱れてしまう「後戻り」の原因になる可能性も指摘されています。特に、横向きに生えている親知らずは、その影響が大きいと考えられています。
このような後戻りを防ぎ、時間と費用をかけて手に入れた美しい歯並びを長期的に維持するためにも、矯正歯科医から親知らずの抜歯を勧められることがあります。矯正治療を受ける場合は、事前に親知らずの状態を詳しく検査し、担当の歯科医師と抜歯の必要性について十分に話し合うことが大切です。
親知らずを抜かない選択肢は?抜歯のメリット・デメリットを徹底比較
「親知らずは抜いた方が良いの?」「痛みがあるけれど、抜歯は怖い」と悩んでいませんか。親知らずに関する悩みは人それぞれですが、必ずしも全ての親知らずを抜く必要があるわけではありません。この記事では、あなたの親知らずが抜歯すべき状態なのか、それとも抜かずに経過観察できる状態なのかを判断するための具体的な基準を詳しく解説します。
抜歯の決断は、将来の口腔内の健康や日常生活に大きな影響を与えるため、メリットとデメリットの両方を正しく理解することが重要です。この記事を通じて、ご自身の親知らずの状況を把握し、歯科医師との相談に役立つ知識を深めることで、あなたにとって最適な治療方針を見つける手助けとなれば幸いです。
【結論】親知らずは必ずしも抜く必要はない!ただし自己判断は危険
親知らずは、必ずしもすべて抜歯しなければならないわけではありません。まっすぐきれいに生えていて、きちんと歯磨きができるなど、問題なく機能している親知らずであれば、抜かずにそのまま維持することも十分に可能です。ご自身の親知らずの状態によっては、無理に抜歯する必要はないと覚えておいてください。
しかし、ご自身の親知らずの状態を正確に判断することは非常に難しいです。外見上問題がなさそうに見えても、骨の中に隠れた部分でトラブルの種を抱えているケースも少なくありません。そのため、少しでも痛みや違和感がある場合はもちろん、今は何も症状がなくても、一度歯科医院を受診することが非常に重要になります。
歯科医院では、レントゲン撮影などを用いて親知らずの生え方や根の形、周囲の骨の状態などを詳細に検査します。その上で、専門家である歯科医師が、あなたの親知らずの現状と将来的なリスクを正確に診断し、抜歯の要不要について的確なアドバイスをしてくれます。自己判断で放置せず、まずは専門家の意見を仰ぎましょう。
そもそも親知らずとは?なぜトラブルが起きやすいのか
親知らずとは、前から数えて8番目に生えてくる永久歯で、正式には「第三大臼歯」と呼ばれます。一般的に10代後半から20代前半にかけて生えてくることが多いですが、個人差が大きく、全く生えてこない方や、骨の中に埋まったままの方もいらっしゃいます。この歯が「親知らず」と呼ばれるのは、親に知られることなく生えてくる年齢だから、という説が有力です。
親知らずが他の歯に比べてトラブルを起こしやすい最大の原因は、現代人の顎の大きさと密接に関係しています。食生活の変化などにより、現代人の顎は昔に比べて小さくなる傾向にあります。そのため、親知らずが生えてくる頃にはすでに顎のスペースが足りず、他の永久歯のようにまっすぐ生えることができないケースが多く見られます。
結果として、親知らずは斜めや横向きに生えたり、歯茎の一部だけが見えたり、完全に骨の中に埋まったままになったりすることが少なくありません。このような異常な生え方は、歯ブラシが届きにくくなる原因となり、食べかすやプラークが溜まりやすくなります。これにより、虫歯や歯周病、さらには親知らず周囲の歯茎の炎症(智歯周囲炎)といったトラブルを非常に引き起こしやすくなるのです。
あなたの親知らずはどのタイプ?生え方で変わるリスク
親知らずの生え方は人それぞれであり、その生え方によって将来的なトラブルのリスクも大きく異なります。歯科医院では、外からは見えない親知らずの正確な位置や向き、根の状態、神経との位置関係などをレントゲンやCT撮影で確認し、どのタイプに該当するかを診断します。ご自身の親知らずが「まっすぐ正常に生えている」「斜めや横向きに生えている」「完全に埋まっている」のどのタイプに当てはまるのかを知ることで、それぞれのリスクを理解し、適切な対応を検討する上での重要な情報となります。
まっすぐ正常に生えている
親知らずが他の奥歯と同じように垂直に生え、歯の頭が完全に歯茎から出ている状態を指します。上下の親知らずがしっかりと噛み合っている場合は、機能的な問題はほとんどありません。このタイプの親知らずは、比較的トラブルのリスクが低いと言えます。
しかし、最も奥に位置しているため、歯ブラシの毛先が届きにくく、意識して丁寧に磨かなければ、虫歯や歯周病になってしまう可能性があります。他の歯と同様に日々の丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診でのチェックが不可欠です。
斜めや横向きに生えている
親知らずが手前の歯に向かって斜めに傾いて生えている状態(傾斜埋伏)や、完全に横向きに生えて手前の歯に突き当たっている状態(水平埋伏)を指します。このタイプの親知らずは、最もトラブルを起こしやすいと言われています。
斜めや横向きに生えている親知らずは、歯の一部だけが歯茎から見えていたり、手前の歯との間に隙間があったりするため、食べかすやプラーク(歯垢)が非常に溜まりやすくなります。これにより、親知らず自体が虫歯になるだけでなく、清掃不良から歯茎が炎症を起こす「智歯周囲炎」を繰り返しやすくなります。
さらに、手前の健康な歯(第二大臼歯)を圧迫し続けることで、その歯の根を溶かしてしまったり、手前の歯と親知らずの間にできたポケットに細菌が繁殖し、手前の歯まで虫歯にしてしまったりするリスクも高まります。また、親知らずが前方の歯を押し続けることで、歯並び全体の乱れにつながる可能性も指摘されています。
歯茎や骨の中に完全に埋まっている
親知らずが歯茎の中に完全に埋まっていて、外からは全く見えない状態を指します。このタイプの場合、痛みや腫れなどの自覚症状が全くないことがほとんどです。
しかし、症状がないからといって問題がないとは限りません。レントゲン撮影によって初めて、埋まっている親知らずの周囲に「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる膿の袋ができていたり、隣の歯の根を溶かしている「歯根吸収」が進行していたりするなどの問題が発見されることがあります。これらの病的な変化は、放置すると顎の骨を広範囲にわたって破壊する可能性もあるため注意が必要です。
自覚症状がない場合でも、定期的な歯科検診とレントゲン検査で、埋伏している親知らずの状態を確認し続けることが、将来的なトラブルを未然に防ぐ上で非常に重要となります。
親知らずを抜かない選択肢|抜かなくても良いケースとは
親知らずの抜歯は、痛みや腫れ、治療への不安など、多くの人にとって精神的な負担が大きいものです。しかし、全ての親知らずを抜かなければならないわけではありません。特定の条件を満たしている親知らずであれば、抜歯せずにそのまま経過を観察するという選択肢も十分に考えられます。
歯科医師が抜歯を推奨しないケースは、親知らずが口腔内の健康を害するリスクが低いと判断される場合です。これは、無意味な抜歯を避けるという観点からも重要な判断基準となります。ご自身の親知らずが、これから紹介する「抜かなくても良いケース」に該当するかどうかを確認してみましょう。
ただし、ご自身での判断は危険ですので、必ず歯科医師の診断を受けてください。歯科医師は、現在の状態だけでなく、将来的なリスクも考慮した上で、抜歯の要不要を判断します。もし抜かなくて良いと判断された場合でも、その後の定期的なチェックは欠かせません。
正常に生えていて、きちんと歯磨きができている
親知らずを抜かなくても良い代表的なケースの一つは、他の歯と同じように「まっすぐ正常に生えていて、日々の歯磨きで清潔に保たれている」場合です。具体的には、上下の親知らずがしっかりと噛み合っていて、食べ物を問題なく咀嚼できる機能があり、かつ、歯ブラシが奥まで届いて虫歯や歯周病になっていない、あるいはそのリスクが低い状態を指します。
この場合、親知らずも他の健康な歯と同様に口腔内で機能しており、あえて抜歯する積極的な理由はありません。親知らずの存在自体がトラブルの原因となっていなければ、そのままご自身の歯として大切に維持していくことが推奨されます。ただし、最も奥に位置するため、今後も変わらず丁寧に歯磨きを続けること、そして定期的な歯科検診でプロのクリーニングとチェックを受けることが非常に重要です。
完全に骨の中に埋まっていて問題がない
親知らずが歯茎や顎の骨の中に完全に埋まっている状態(完全埋伏)でも、抜歯が不要と判断されることがあります。レントゲンやCTなどの精密な検査の結果、その親知らずが隣の歯に悪影響を与えていないこと、そして周囲に嚢胞(膿の袋)などの病的な変化が見られないことが確認された場合です。この状態であれば、痛みや腫れなどの症状が起こるリスクが低いため、歯科医師が抜歯せずに経過観察を選択することがあります。
しかし、症状がないからといって「完全に安心」というわけではありません。数年後、あるいは加齢とともに周囲の環境が変化し、埋伏した親知らずがトラブルの原因となる可能性もゼロではありません。そのため、このケースで抜歯しない選択をする場合でも、定期的な歯科検診を継続し、レントゲンなどで親知らずの状態を常に確認し続けることが前提条件となります。早期に変化を発見できれば、より負担の少ない対処が可能になるため、自己判断での放置は避けましょう。
親知らずの抜歯に関するよくある質問
親知らずの抜歯は、多くの方が経験する可能性のある治療ですが、その内容については漠然とした不安を抱えがちです。ここでは、「治療は痛いのか」「仕事に影響はないか」「費用はどれくらいかかるのか」といった、実際に多くの方が疑問に感じる具体的な質問について、一つひとつ丁寧に解説していきます。
これらの情報を通して、抜歯に対する不安を解消し、ご自身の状況に合わせて具体的な計画を立てるための一助となれば幸いです。
Q1. 抜歯は痛いですか?麻酔について教えてください
親知らずの抜歯に関して、多くの方が最も心配されるのが「痛み」ではないでしょうか。しかし、ご安心ください。抜歯の治療中は局所麻酔がしっかりと効いているため、痛みを感じることはほとんどありません。治療中に感じるのは、歯を揺らす感覚や圧迫感などで、鋭い痛みではありません。
麻酔は、まず歯茎に塗るタイプの表面麻酔(塗り薬)で注射の痛みを和らげます。その上で、非常に細い針を使って麻酔液をゆっくりと注入することで、麻酔自体の痛みも最小限に抑えられます。万が一、麻酔が効きにくい場合や、治療中に痛みを感じるようなことがあれば、すぐに歯科医師に伝えることで、麻酔を追加して対応できます。
また、歯科医院によっては、治療に対する恐怖心が非常に強い方のために、リラックス効果のある「静脈内鎮静法」という選択肢を提供している場合もあります。これは、点滴によって鎮静剤を投与し、ウトウトとした状態で治療を受けられる方法です。このように、抜歯時の痛みに配慮したさまざまな方法がありますので、ご自身の不安や希望を歯科医師に伝えることが大切です。
Q2. 痛みや腫れはどのくらい続きますか?仕事への影響は?
抜歯後の痛みや腫れの程度、持続期間は、親知らずの生え方や抜歯の難易度、体質によって個人差がありますが、一般的な目安をお伝えします。
痛みと腫れのピークは、抜歯後48時間から72時間(約2〜3日)であることが多いです。この期間を過ぎると、徐々に症状は落ち着いていきます。通常は1週間程度で大きな腫れや痛みは引いてくるでしょう。処方される痛み止めを服用することで、日常生活への支障を軽減できます。また、内出血によって顎のあたりが一時的に黄色や紫色になることが稀にありますが、これも時間とともに自然に消えていくことがほとんどです。
仕事への影響については、簡単な抜歯であれば翌日から普段通り仕事ができることが多いです。しかし、骨を削るような難抜歯の場合や、お仕事の内容が体力を使うもの、あるいは人前に立つような職業である場合は、念のため2〜3日程度の休みを取っておくと安心です。抜歯のスケジュールを週末に合わせるなど、ご自身の仕事内容やライフスタイルを考慮して、事前に歯科医師とよく相談し、最適な計画を立てることをおすすめします。
Q3. 費用はいくらくらいかかりますか?保険は適用されますか?
親知らずの抜歯は、虫歯や歯周炎の治療、あるいは将来的な予防を目的として行われるため、基本的に健康保険が適用されます。そのため、高額な費用がかかることを心配する必要はほとんどありません。
保険適用(3割負担の場合)の費用の目安は、抜歯の難易度によって以下のように異なります。
まっすぐ生えていて比較的簡単な抜歯:数千円程度
歯茎に一部埋まっているなど少し複雑な抜歯:1万円前後
骨の中に完全に埋まっているなど、外科的な処置が必要な難抜歯:1万5千円以上
これらの費用に加えて、初診料やレントゲン撮影料、CT撮影料、そして処方される薬代などが別途かかります。正確な費用については、抜歯前に歯科医師が親知らずの状態を診断し、治療計画とともに詳しく説明してくれますので、その際に確認するようにしてください。
Q4. 抜歯の治療の流れと通院回数を教えてください
親知らずの抜歯における一般的な治療プロセスと、それに伴う通院回数は、通常合計で2〜3回程度です。具体的な治療の流れは以下のようになります。
1回目:診察・検査・治療計画の説明
まず、歯科医院を受診し、お口の中の状態を詳しく診察します。親知らずの位置や生え方、周囲の組織との関係性を正確に把握するために、レントゲン撮影や必要に応じてCT撮影を行います。これらの検査結果をもとに、親知らずを抜歯する必要があるか、抜歯する場合はどのような方法で行うか、かかる費用や抜歯後の注意点など、具体的な治療計画について歯科医師から説明を受けます。
2回目:抜歯処置
診断に基づき、抜歯の処置を行います。局所麻酔を行った後、親知らずを抜歯します。抜歯の難易度によりますが、処置自体は数十分から1時間程度で完了することが多いです。抜歯後は、必要に応じて止血のためにガーゼを噛んでもらい、術後の注意事項や処方薬について説明を受けます。
3回目:傷口の確認・抜糸
抜歯から約1週間後に再度受診し、抜歯した箇所の傷口の状態を確認します。もし抜歯時に歯茎を縫合している場合は、この時に抜糸を行います。経過が順調であれば、これで治療は完了となりますが、何か気になる点があれば遠慮なく歯科医師に相談しましょう。
Q5. 抜歯後の食事や生活での注意点はありますか?
親知らずの抜歯後の回復をスムーズに進めるためには、いくつか注意していただきたい点があります。これらを守ることで、痛みや腫れを抑え、合併症のリスクを減らすことができます。
食事について:
抜歯当日は麻酔が切れるまでお食事を控えてください。麻酔が効いていると、頬や唇を噛んでしまう恐れがあります。麻酔が切れてからは、数日間はお粥、ゼリー、ヨーグルト、柔らかく煮たうどんなど、柔らかくて刺激の少ないものを中心に摂るようにしましょう。熱すぎるもの、辛いもの、固いものは避けてください。また、抜歯した側で噛むのは控え、ストローで飲み物を飲むことも、口腔内が陰圧になり出血を誘発する可能性があるため、数日間は避けるのが賢明です。
生活面について:
血行が良くなる行為は、痛みや出血の原因となるため、抜歯後2〜3日は控えるようにしてください。具体的には、激しい運動、長時間の入浴(シャワーは可)、飲酒などが挙げられます。喫煙は、傷の治りを著しく遅らせるだけでなく、「ドライソケット」と呼ばれる合併症のリスクを高めるため、抜歯後しばらくは控えるように強くおすすめします。
口腔ケアについて:
抜歯した箇所は、うがいを強くしすぎないように注意してください。抜歯窩にできた血の塊(血餅)は、傷口を保護し治癒を促進する重要な役割を担っています。強いうがいによって血餅が剥がれてしまうと、骨が露出して激しい痛みを伴うドライソケットの原因となります。うがいをする際は、そっと口に水を含んで吐き出す程度に留めましょう。歯磨きは、抜歯した箇所を避けて、他の歯は普段通り丁寧に磨いてください。
これらの注意点を守り、気になることがあればすぐに歯科医院に連絡することが大切です。
まとめ:親知らずを抜くか抜かないか、まずは歯科医院で相談を
ここまで親知らずの抜歯について様々な側面から解説してきましたが、親知らずを抜くべきか抜かないべきかは、お一人おひとりの口腔内の状況や親知らずの生え方、そしてライフスタイルによって大きく異なります。一概に「抜いた方が良い」「抜かなくても良い」と言い切れるものではありません。
インターネット上には多くの情報があふれていますが、ご自身の親知らずの状態は、外から見ただけでは正確に判断できません。目に見えない歯の根や神経の位置、骨との関係などは、レントゲンやCT撮影といった精密検査を行って初めて明らかになります。現在、痛みや違和感がある方はもちろん、今は特に症状がなくても「もしかしたらトラブルが起きるかもしれない」という不安を抱えている方は、まずは歯科医院を受診し、専門家である歯科医師の診断を受けることが最も大切ですさんの口腔環境を守るための具体的な行動を始めてみてください。
少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。
監修者
日本大学歯学部卒業後、現在に至る。
【略歴】
・日本大学歯学部 卒業
さいたま市浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科
『浦和サンデー歯科・矯正歯科』
住所:埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目10-1 PORAMビル 1F
TEL:048-826-6161