浦和サンデー歯科|親知らずは痛くなくても抜くべき?判断基準と放置するリスクを解説

浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科「浦和サンデー歯科・矯正歯科」です。

「親知らずがなんとなく生えてきたけれど、特に痛みはないから大丈夫かな?」「歯科検診で抜歯を勧められたけれど、痛くないのに抜く必要があるの?」と、痛みがない親知らずの扱いに悩む方は少なくありません。親知らずは、生え方や状況によって「抜くべきケース」と「抜かなくてもよいケース」がはっきりと分かれます。しかし、見た目には問題がなくても、将来的にさまざまなトラブルを引き起こすリスクを抱えている場合があるため、自己判断は非常に危険です。

この記事では、痛くない親知らずについて、抜歯が必要になる具体的な判断基準、放置することで生じる可能性のあるリスク、そして実際に抜歯を検討する際の治療の流れや費用、抜歯後の注意点までを網羅的に解説します。この記事を通じて、ご自身の親知らずの状態を理解し、歯科医院で専門的な診断を受けるきっかけにしていただければ幸いです。

Table of Contents

【結論】痛くない親知らずは「抜くべきケース」と「抜かなくてもよいケース」がある

「痛くない親知らずは抜くべきか?」という疑問に対しては、「ケースバイケース」が明確な答えです。痛みがないからといって、すべての親知らずをそのままにしておいて良いわけではありませんし、逆に、必ずしも抜かなければならないわけでもありません。親知らずの抜歯の必要性は、単に痛みがあるかどうかだけでなく、その生え方、周囲の歯や歯茎への影響、そして将来的に起こりうるリスクなどを総合的に判断して決定されます。

例えば、親知らずがまっすぐきれいに生えていて、歯磨きも問題なくできる場合は、抜かずに残せる可能性があります。しかし、斜めに生えていたり、一部だけ顔を出していたりする親知らずは、今は痛みを感じていなくても、将来的に虫歯や歯周病、隣の歯への悪影響など、さまざまな問題を引き起こすリスクが高いと言えます。この記事では、あなたの親知らずがどのケースに当てはまるのか、具体的な判断基準を詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

あなたの親知らずはどのタイプ?生え方で変わる抜歯の必要性

親知らずの抜歯が必要かどうかを判断する上で、最も重要になるのが「生え方」です。親知らずは、他の歯と異なり、人によって生え方が大きく異なります。歯科医院では、レントゲン撮影によって親知らずの生え方を正確に診断し、抜歯の要否を判断します。

主な生え方としては、以下の3つのタイプが挙げられます。

一つ目は「まっすぐ正常に生えている」タイプです。これは、他の奥歯と同じように、きれいに垂直に生えてきて、上下の歯としっかり噛み合っている状態です。このタイプの親知らずは、歯磨きも比較的しやすいため、トラブルが少なければ抜かずに残せる可能性が高くなります。

二つ目は「斜めや横向きに生えている(部分萌出・水平埋伏)」タイプです。これは親知らずの一部だけが歯茎から顔を出していたり、完全に横倒しになっていたりする状態です。特に下の親知らずで多く見られます。このタイプは、歯と歯茎の間に汚れが溜まりやすく、虫歯や歯周病、炎症(智歯周囲炎)のリスクが非常に高まります。また、隣の歯を押し続けることで、歯並び全体に悪影響を与えたり、隣の歯を損傷させたりする原因にもなるため、抜歯が推奨されるケースが多いです。

三つ目は「完全に骨の中に埋まっている(完全埋伏)」タイプです。このタイプは、レントゲンを撮らないと存在が分からないことがほとんどです。歯茎の中に完全に埋まっているため、表面上は問題がないように見えます。しかし、稀に周囲に嚢胞(のうほう)という液体の袋ができたり、隣の歯の根を圧迫して吸収させてしまったりするリスクがあります。これらの問題がなければ、基本的には抜歯せずに経過観察となることもありますが、将来的なリスクを考慮して抜歯を検討することもあります。

【セルフチェック】痛くなくても抜歯を検討すべき親知らずの判断基準

痛みがない親知らずでも、お口の中で問題が静かに進行している場合があります。ここでは、ご自身の親知らずが抜歯を検討すべきタイプかどうかをチェックするための判断基準をご紹介します。ただし、これらはあくまでご自身で状況を振り返るための目安であり、最終的な診断は必ず歯科医師が行いますので、気になる点があれば歯科医院を受診してください。

ケース1:虫歯や歯周病のリスクが高い

親知らずを抜くべき最も一般的な理由の一つが、虫歯や歯周病のリスクが高いことです。親知らずは口の最も奥に位置しているため、歯ブラシの毛先が届きにくく、どうしても磨き残しが多くなってしまいます。その結果、プラーク(歯垢)が溜まりやすく、親知らず自体が虫歯になる可能性が非常に高まります。

さらに深刻なのは、親知らずだけでなく、隣接する健康な歯(第二大臼歯)まで虫歯や歯周病にしてしまうリスクがある点です。親知らずと第二大臼歯の隙間に汚れが溜まりやすく、この部分の虫歯は発見が遅れやすく、治療も困難になることが少なくありません。大切な隣の歯を守るためにも、清掃性が悪い親知らずは抜歯が推奨されます。

ケース2:横向きや斜めに生えており、隣の歯を圧迫している

親知らずが横向きや斜めに生えている場合(埋伏歯や半埋伏歯)、さまざまな問題を引き起こす可能性が高まります。特に、隣の歯の根元を押し続けることで、「歯根吸収(しこんきゅうしゅう)」という、隣の歯の根が溶けてしまう現象が起こることがあります。これは、健康な歯の寿命を縮めてしまうことにつながりかねません。

また、斜めに生えた親知らずと隣の歯との隙間には、食べかすや細菌が非常に溜まりやすく、深い虫歯や歯周病の原因となります。さらに、顎の骨の中に「嚢胞(のうほう)」と呼ばれる膿の袋を作ってしまう可能性もあります。これらの問題は、痛みとして自覚される頃にはかなり進行しているケースが多く、手遅れになる前に対応することが重要です。

ケース3:歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼす可能性がある

親知らずが前方の歯を押し出す力によって、歯並び全体が乱れる原因になることがあります。特に、前歯の歯並びが徐々に悪くなってきたと感じる場合、親知らずが影響している可能性も考えられます。この点については専門家の間でも意見が分かれることがありますが、リスクの一つとして考慮されるべきでしょう。

また、正常な位置に生えていない親知らずは、上下の歯の噛み合わせのバランスを崩し、結果的に顎関節症などの症状を引き起こす原因となることもあります。顎関節症になると、口を開けるときに痛みが走ったり、顎の音が鳴ったり、口が大きく開けられなくなったりと、日常生活に支障をきたすことがあります。

ケース4:歯茎の腫れや痛みを繰り返している

親知らずが完全に生えきらず、一部が歯茎に覆われている「部分萌出(ぶぶんほうしゅつ)」の状態にあると、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」という炎症を繰り返すことがあります。これは、親知らずと歯茎の間にできた隙間に細菌が入り込み、炎症を起こしやすい状態になるためです。

体調が疲れている時や免疫力が低下している時などに、急に歯茎が腫れたり、強い痛みを感じたりすることが特徴です。一度症状が治まっても、原因である親知らずが存在する限り、再発を繰り返す可能性が高く、徐々に炎症が悪化することもあります。このような症状を繰り返す場合は、抜歯によって根本的な解決を図ることが推奨されます。

ケース5:矯正治療を始める予定がある

歯列矯正を検討している場合、親知らずの抜歯が必要となることが少なくありません。矯正治療では、歯を動かして理想的な歯並びを作るために、お口の中にスペースを確保する必要があります。このスペースを作る目的で、治療を開始する前に親知らずを抜歯することがよくあります。

また、矯正治療によってせっかく整えた歯並びが、治療後に生えてくる親知らずによって後戻りしてしまうリスクを防ぐためにも、抜歯が計画される場合があります。矯正治療を成功させ、その効果を長く維持するためには、親知らずの適切な管理が非常に重要です。矯正歯科医と相談し、治療計画に合わせた抜歯の要否を判断してもらいましょう。

抜かなくてもよい親知らずとは?

親知らずは、生え方や状態によっては必ずしも抜歯する必要がない場合があります。これまでに説明した「抜くべきケース」とは対照的に、問題を引き起こす可能性が低く、口腔内に良い影響を与える親知らずも存在します。どのような場合に親知らずを残せるのか、具体的な条件をこれから詳しく解説していきますので、ご自身の親知らずがどのタイプに当てはまるか、参考にしてみてください。

痛みがないからといって安易に放置するのも危険ですが、無理に抜歯をする必要がない場合もあります。歯科医師の診断のもと、ご自身の親知らずが「抜かなくてもよい」と判断されるのはどのような状況なのか、具体的な条件を知ることが大切です。

まっすぐ正常に生えていて、歯磨きも問題なくできる場合

親知らずを残せる最も理想的な条件の一つは、親知らずが他の奥歯と同様に上下にまっすぐ生え、しっかりと噛み合っている状態です。このような親知らずは、食べ物を噛む機能に貢献し、口腔内の一部として問題なく機能します。上下の親知らずがしっかりと噛み合うことで、特定の歯に過度な負担がかかるのを防ぎ、バランスの取れた噛み合わせを維持することにも役立ちます。

さらに重要なのは、歯ブラシの毛先が親知らずの隅々まで届き、自分自身で清潔な状態を維持できることです。もし親知らずがまっすぐ生えていても、奥に位置するために磨き残しが多く、虫歯や歯周病のリスクが高い場合は、抜歯を検討する必要があるかもしれません。しかし、適切なケアが可能であれば、親知らずも健康な永久歯として残すことができます。

骨の中に完全に埋まっていて、将来的に問題を起こす可能性が低い場合

親知らずが完全に顎の骨の中に埋まっていて、レントゲン写真などで確認した際に、嚢胞(のうほう)という膿の袋を形成していなかったり、隣の歯を圧迫したりしていない場合も、必ずしも抜歯する必要がないことがあります。このような「完全埋伏歯」は、口腔内に露出していないため、虫歯や歯周病のリスクが極めて低く、現状では周囲の歯や組織に悪影響を与えていないと判断されます。

特に高齢の方の場合、骨が硬く歯と骨が癒着していることが多いため、抜歯手術の難易度が上がり、術後の負担も大きくなる傾向があります。そのため、現状で全く問題がない、あるいは問題を起こす可能性が低いと診断された場合は、無理に抜歯せずに定期的な経過観察を選択することがあります。ただし、定期的な歯科検診で状態をチェックし、もし変化があれば早期に対応することが重要です。

移植歯として再利用できる可能性がある場合

ご自身の親知らずが、将来的に他の失われた歯の代わりに「移植歯」として再利用できる可能性がある場合も、抜かずに保存しておく価値があります。これを「歯牙移植(しがいしょく)」といい、虫歯や歯周病などで他の奥歯を失ってしまった際に、健康な親知らずをその抜歯した部分に移植し、自身の歯として機能させる治療法です。

歯牙移植は、ブリッジやインプラントといった治療法に比べて、自身の歯を利用するため生体親和性が高く、保険適用となる場合があるというメリットがあります。ただし、親知らずの形や根の状態、移植する場所の骨の状態など、いくつかの条件を満たす必要があるため、誰にでも適用できる治療法ではありません。しかし、もしその可能性があると診断された場合は、将来的な選択肢として健康な親知らずを温存しておくことを検討しても良いでしょう。

痛くないからと放置は危険!親知らずを抜かない5つのリスク

親知らずに痛みがないからといって、必ずしも安心できるわけではありません。「痛みがない=問題がない」ではない場合も多く、自覚症状がないまま口腔内でトラブルが進行している可能性もあります。ここでは、親知らずを放置することで将来的にどのようなリスクが生じるのかを具体的に解説していきます。ご自身の親知らずは大丈夫だろうかと疑問を感じている方も、ご自身の将来の健康を守るための情報としてぜひ読み進めてみてください。

リスク1:突然の激しい痛みや腫れ(智歯周囲炎)を引き起こす

親知らずが中途半端に生えている場合、歯と歯茎の間に食べかすやプラークが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境となります。普段は痛みを感じなくても、疲労やストレスなどで体の免疫力が低下した際に、突然、周囲の歯茎が炎症を起こし、「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」を発症するリスクが高まります。智歯周囲炎は、想像以上に激しい痛みや腫れを伴うことが多く、顔全体が腫れ上がったり、口が開けにくくなる(開口障害)といった症状が現れることがあります。

重要な会議や出張、旅行といった大切なイベントの直前に症状が出てしまい、日常生活に大きな支障をきたすケースも少なくありません。一度発症すると、抗生物質などで炎症を抑えても、原因である親知らずが存在する限り再発を繰り返す可能性が非常に高いため、根本的な解決策として抜歯が検討されます。

リスク2:隣の健康な歯まで虫歯や歯周病にしてしまう

親知らずを放置することの最も深刻なリスクの一つは、隣接する健康な歯、特に第二大臼歯に悪影響を及ぼす可能性が高いことです。親知らずが斜めに生えていたり、部分的にしか顔を出していなかったりすると、親知らずと第二大臼歯の間に狭い隙間ができやすくなります。この隙間は歯ブラシの毛先が届きにくいため、プラークや食べかすが非常に溜まりやすく、清掃が困難です。

結果として、親知らず自体が虫歯になるだけでなく、健康な第二大臼歯の後ろ側から虫歯が進行してしまうケースが頻繁に見られます。このタイプの虫歯は、発見が遅れがちで、気づいた時にはかなり進行していることが多く、治療も非常に困難です。最悪の場合、健康だったはずの第二大臼歯まで抜歯せざるを得なくなるという、取り返しのつかない事態につながることもあります。

リスク3:歯並び全体を乱す原因になる

親知らずが横向きや斜めに生えてくると、前方の歯を内側から継続的に押し出す力が加わることがあります。この持続的な圧力が、少しずつ前方の歯を動かし、全体の歯並びを乱す原因となる可能性が指摘されています。特に、下顎の親知らずが前方の歯を強く押し、前歯のガタつきや重なりといった乱れを引き起こすことがあります。

一度矯正治療によってきれいな歯並びを手に入れた方にとって、親知らずが原因で歯並びが後戻りしてしまう「再発」のリスクは大きな懸念事項です。矯正治療を検討している方や、以前に矯正治療を受けたことがある方は、この親知らずによる歯並びへの影響を特に考慮する必要があります。

リスク4:口臭がきつくなることがある

親知らずの周りは、形状や位置の関係で歯磨きが非常に難しく、常に清潔に保つことが困難です。そのため、親知らずの周囲にはプラーク(歯垢)や食べかすが溜まりやすく、細菌が繁殖しやすい環境が作られてしまいます。これらの細菌が食べかすなどを分解する際に、不快な臭いの元となる硫黄化合物などを発生させます。

たとえ丁寧に歯磨きをしているつもりでも、親知らずの周辺に蓄積された汚れが原因で、慢性的な口臭が発生しているケースは少なくありません。口臭の原因がはっきりしない場合、親知らずの清掃不良が根本的な原因である可能性も考えられます。

リスク5:年齢を重ねると抜歯後の回復が遅くなる傾向がある

親知らずの抜歯は、一般的に若いうちに行う方が術後の回復が早い傾向にあります。10代後半から20代前半の若い世代では、親知らずの根がまだ完全に形成されておらず、周囲の顎の骨も比較的柔らかいため、抜歯自体がスムーズに進みやすく、術後の痛みや腫れも比較的軽度で済み、回復も早いのが特徴です。

しかし、年齢を重ねるにつれて顎の骨は硬くなり、親知らずの根も骨としっかり癒着(ゆちゃく)してしまうことが多くなります。そうなると、抜歯の難易度が上がり、手術時間も長くなる傾向にあります。結果として、術後の痛みや腫れが強く出たり、回復に時間がかかったりする可能性が高まります。

問題が起きてから対処するよりも、若く身体の回復力が高い時期に抜歯を検討することで、術後の負担を最小限に抑え、より安全かつスムーズに回復へと向かうことができるでしょう。

親知らずの抜歯|流れと気になる疑問を解消

親知らずの抜歯を検討している方は、「どのような流れで抜歯が進むのだろう」「痛みはどのくらいあるのか」「費用はどのくらいかかるのか」といった具体的な疑問や不安を抱えているのではないでしょうか。このセクションでは、抜歯の具体的な手順から、多くの方が気になる痛みや麻酔について、さらに費用や抜歯後の回復期間まで、患者様が安心して次のステップに進めるよう、一つひとつの疑問に詳しくお答えしていきます。

抜歯は外科処置のため、漠然とした不安を感じるかもしれませんが、事前に流れや注意点を把握しておくことで、落ち着いて処置に臨むことができます。ぜひご自身の状況と照らし合わせながら、具体的な情報を確認してみてください。

Q1. 抜歯はどんな流れで進むの?

親知らずの抜歯は、いくつかのステップを経て行われます。まず、初診時には口腔内全体の診察が行われ、親知らずの状態を正確に把握するためにレントゲン撮影や、必要に応じてCT撮影が行われます。これにより、親知らずの生え方(まっすぐ生えているか、斜めや横向きか)、根の形、神経や血管との位置関係などが詳細に確認されます。この検査結果をもとに、歯科医師から抜歯の必要性やリスク、具体的な抜歯計画について説明があります。

抜歯当日は、まず局所麻酔を丁寧に行い、処置中の痛みを完全に遮断します。麻酔が十分に効いたことを確認してから、抜歯処置に入ります。まっすぐ生えている親知らずの「単純抜歯」であれば、鉗子(かんし)などで親知らずを把持して引き抜くことがほとんどです。一方、横向きや斜めに埋まっている「難抜歯」の場合は、歯茎を切開したり、骨を削ったりして親知らずを分割してから除去することがあります。

抜歯が終わったら、傷口をきれいに洗浄し、必要に応じて縫合を行います。抜歯後1週間から10日程度で抜糸のために再度来院し、傷口の治癒状態を確認します。この一連の流れは、患者様の親知らずの状態によって多少異なりますが、歯科医師が丁寧に説明しながら進めていくのでご安心ください。

Q2. 抜歯は痛い?麻酔について知りたい

親知らずの抜歯に対する「痛み」への不安は、多くの方が抱くものです。しかし、ご安心ください。抜歯処置中は局所麻酔が十分に効いているため、痛みを感じることはほとんどありません。麻酔が効いている間は、歯や顎の骨を触られているような「押される感覚」や、歯を動かす際の「振動」を感じることがありますが、これらは痛みとは異なる感覚です。

また、歯科医院によっては、抜歯への恐怖心が非常に強い方や、一度に複数本の親知らずを抜歯する方のために、「静脈内鎮静法(じょうみゃくないちんせいほう)」という選択肢を提供している場合があります。これは、点滴によって鎮静剤を投与することで、意識はあるものの、うとうとと眠っているようなリラックスした状態で処置を受けられる方法です。処置中の記憶もほとんど残らないことが多く、不安を大きく軽減できますので、希望される場合は歯科医師に相談してみると良いでしょう。

Q3. 費用はどのくらいかかる?保険は使える?

親知らずの抜歯にかかる費用は、親知らずの生え方や状態によって異なりますが、基本的に健康保険が適用されます。美容目的の治療とは異なり、虫歯や歯周病の予防、口腔機能の改善を目的とした治療であるため、安心して保険診療を受けられます。

保険適用(3割負担)の場合の費用の目安としては、まっすぐ生えている親知らずの「単純抜歯」であれば、数千円程度が一般的です。一方、歯茎を切開したり、骨を削ったりする必要がある横向きや完全に埋まっている親知らずの「難抜歯」では、1万円前後かかることが多いです。これらの費用に加えて、初診料や再診料、レントゲン撮影やCT撮影の費用、そして処方される薬代などが別途かかります。

総額でどのくらいかかるかは、抜歯前に歯科医師や受付でしっかりと確認するようにしましょう。歯科医院によってはクレジットカード払いに対応している場合もありますので、事前に確認しておくと安心です。

Q4. 抜歯後の腫れや痛みはいつまで続く?

親知らずの抜歯後は、個人差はありますが、痛みや腫れが生じることが一般的です。特に、歯茎の切開や骨の切削を伴う難抜歯の場合にその傾向が強く出ます。痛みや腫れのピークは、一般的に抜歯後24時間から48時間(1〜2日後)とされています。この期間を過ぎると、徐々に症状は和らいでいき、ほとんどの場合、1週間ほどで落ち着いてきます。

特に下の親知らずの抜歯は、上の親知らずに比べて腫れやすい傾向があります。これは、下の顎の骨が硬く、抜歯の際に周囲組織への負担が大きくなるためです。しかし、処方される痛み止めを指示通りに服用することで、痛みをコントロールし、日常生活に大きな支障なく過ごせる方がほとんどです。腫れに対しては、抜歯直後から頬の外側を冷やすことで、ある程度の緩和が期待できます。

もし、抜歯後数日経っても痛みや腫れが強くなる、発熱するなどの異常を感じた場合は、すぐに歯科医院に連絡し、診察を受けるようにしましょう。適切な処置を受けることで、回復を早め、合併症のリスクを避けることができます。

親知らず抜歯後の注意点|回復を早めるためのポイント

親知らずの抜歯は外科処置のため、術後の過ごし方が非常に大切です。抜歯後の回復をスムーズに進めるためには、いくつかの注意点を守っていただく必要があります。この過ごし方が、痛みや腫れの程度、さらには「ドライソケット」のような合併症を防ぐ上で、非常に重要な鍵となります。これから詳しく解説するポイントをしっかり実践していただくことで、より早く快適に回復できるでしょう。

抜歯当日の過ごし方(食事・運動・入浴など)

抜歯当日は、できるだけ安静に過ごすことが大切です。特に血行が良くなる行動は、抜歯部位からの出血を促したり、腫れを悪化させたりする可能性があるため避けるようにしてください。例えば、激しい運動や長時間の入浴、飲酒は控える必要があります。シャワー程度であれば問題ありませんが、湯船に長く浸かるのは避けてください。

食事については、麻酔が完全に切れてから摂るようにしてください。麻酔が効いている状態で食事をすると、頬の内側や唇を噛んでしまう恐れがあるためです。抜歯部位への刺激を避けるため、おかゆ、ゼリー、うどんなどの刺激が少なく柔らかいものを、抜歯した側とは反対の歯で噛むようにしましょう。辛いものや熱すぎるものは避けてください。

処方された痛み止めは、麻酔が切れる前に服用することで、痛みのピークを和らげることができます。また、歯科医師から指示があった場合は、腫れを抑えるために、患部を冷やすことも効果的です。ただし、冷やしすぎると血行不良で回復が遅れることもあるため、指示された時間と方法を守って行うようにしてください。

処方された薬は指示通りに服用する

抜歯後には、歯科医師から痛み止めと抗生物質(化膿止め)が処方されます。これらの薬は、術後の痛みや感染を防ぐために非常に重要な役割を果たします。

痛み止めは、抜歯後の痛みを和らげ、快適に過ごすために必要に応じて服用してください。抗生物質は、傷口からの細菌感染を防ぐための薬で、痛みなどの自覚症状がなくても、処方された日数を必ず飲み切ることが重要です。自己判断で服用を中止してしまうと、後になって感染を起こし、腫れや痛みが再発するリスクがあるため注意しましょう。

ドライソケットを防ぐためにうがいは優しく

抜歯後の合併症で特に注意が必要なのが「ドライソケット」です。これは、抜歯した穴にできた血餅(けっぺい)と呼ばれる血の塊が剥がれてしまい、その下にある骨が露出することで激しい痛みが生じる状態を指します。血餅は、傷口を保護し、骨や歯茎が治癒していく過程で重要な「かさぶた」のような役割を担っています。

ドライソケットを防ぐためには、抜歯当日から翌日にかけてのうがいの仕方に注意が必要です。強くぶくぶくと口をすすいだり、何度も繰り返しうがいをしたりすると、せっかくできた血餅が剥がれてしまう原因となります。また、ストローを使って飲み物を吸う行為も、口腔内の圧力が変わり血餅が剥がれやすくなるため避けるべきです。

うがいは、口に水を含んで、頬を膨らませずに静かに吐き出す程度に留めてください。歯科医師から特別な指示がない限り、強いうがいは避けて、傷口を刺激しないように優しく口の中を清潔に保つことを心がけましょう。

まとめ:親知らずの悩みは自己判断せず、まずは歯科医院で専門家の診断を受けよう

痛みがない親知らずは、一見すると問題ないように思えますが、実は将来的にさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。この記事では、抜歯を検討すべき親知らずのタイプや、放置することで起こりうるリスクについて詳しく解説してきました。

しかし、ご自身の親知らずがどのタイプに当てはまるのか、本当に抜歯が必要なのかは、自己判断で結論を出すべきではありません。レントゲン撮影をはじめとする専門的な検査や診断なしには、親知らずの状態を正確に把握することはできないからです。

もし、親知らずについて少しでも不安や疑問を感じているなら、まずは歯科医院を受診し、歯科医師の専門的な診断を受けることが最も重要です。ご自身の口腔内の状態を正確に知ることで、現時点で抜歯が必要ない場合は安心して過ごせますし、もし何らかの問題が見つかっても、最適なタイミングで適切な対処法を検討できます。そうすることで、将来の口腔トラブルを未然に防ぎ、健康な口元を長く保つことにつながるでしょう。

少しでも参考になれば幸いです。
本日も最後までお読みいただきありがとうございます。

 

監修者

林 悠太 | Yuta Hayashi

日本大学歯学部卒業後、現在に至る。

【略歴】
日本大学歯学部 卒業

さいたま市浦和区浦和駅から徒歩5分の歯医者・矯正歯科
浦和サンデー歯科・矯正歯科
住所:埼玉県さいたま市浦和区仲町1丁目10-1 PORAMビル 1F
TEL:048-826-6161